展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

火山の下

f0149664_11261374.jpg火山の下 マルカム・ラウリー著 渡辺暁、山崎暁子訳

本の紹介より。
二つの火山を臨むメキシコ、クアウナワクの町で、元英国領事ジェフリー・ファーミンは、最愛の妻イヴォンヌに捨てられ、酒浸りの日々を送っています。1938年11月「死者の日」の朝、イヴォンヌが突然彼のもとに舞い戻ってきます。しかし彼は、妻を許すことができず、破滅に向かって突き進みます。

元領事のジェフリーが、まさに「酒浸り」状態。いや、アルコール中毒状態ですね。濃密な狂気と僅かの正気を、余すことなく感じる事が出来ました。1日の出来事を500頁にわたって書いているところからして、その濃密さがわかるかと思います。そして舞台がメキシコ。二つの火山に挟まれた町クワウナワクのラテンの雰囲気が、それに拍車をかけます。
しかも正気の読者が、狂気の主人公の物語を読む訳ですから、内容は当然難解。訳者が解説にあらすじを書くくらいなのですから、その難解さも納得でしょう。

それにしても、凄い世界観!アルコール中毒って、こんな堂々巡りのような取りとめのない世界に迷い込むことなのでしょうか。ただの酔っ払いの話と思いきや、とんでもなかったです。腹違いの弟ヒューの馬鹿げた過去の行動は、どれだけ馬鹿げた考えでも正気。しかし現在、イヴォンヌとヒューの2人と行動を共にしているジェフリーは狂気。一線を越えてしまったジェフリーは、もう後戻りできない大きな流れに飲み込まれてしまったよう。その「一線」は見えない位に細く、気付かない間に足元に引かれて、気付かない間に越えてしまうものに感じました。

余談
「一線」を書いていて、10年ほど前の映画「シン・レッド・ライン」を思い出しました。ジェームズ・ジョーンズの同名小説を、テレンス・マリックが脚色し映画化した作品。この映画、見えないはずの「シン・レッド・ライン」を見事に映像化していました。この映画で超える「一線」は、ジェフリーの超えた「一線」とは意味合いが違いますが、きっとこんな「一線」を知らぬ間に越えてしまったのだと思いました。
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by umekononikki | 2010-12-20 11:26 |