展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

螺旋

f0149664_9542834.jpg螺旋
サンティアーゴ・パハーレス著
木村榮一訳

内容紹介より。
大ベストセラー小説『螺旋』の作者トマス・マウドは、謎の作家。彼を探せと、会社より命じられた編集者ダビッド。そして、麻薬依存症の青年フランは、盗んだバッグに偶然入っていた『螺旋』を読み始めるのだが・・・。

一気に読みました。内容の面白さに加え、非常に読みやすい訳だったこともあります。
謎の作家トマス・マウドを探す、編集者ダビッド。人探しなんてやった事が無いのに、上司の命令で、僅かな手掛かりをたよりに奮闘します。しかも同時に、妻との仲も修復しようとします。そんな器用な方ではないダビッド。たちまちどちらも行き詰まります。
次々と謎が明らかに・・・といった、謎解き的な物語ではありません。この物語の魅力は、「トマス・マウド」探しにあるのではなく、ダビッドが探すことにあるのではないでしょうか。ダビッドは誠実ですが、何処か間の抜けたところがあります。仕事はそれなりに出来るのに、妻とは上手くいっていません。無きに等しい手掛かりをたよりに、当たるはずもない「カン」を働かせ、無理な調査で怪我をし、謎の作家トマス・マウドを探します。その過程は「トマス・マウド」探しではなく、様々な形の「愛情」を学んでいるようにも見えます。
そして「螺旋」という物語を軸に、精密で複雑な歯車を回すように人々が納まるべき場所に動かされていくような快感がありました。面白かったうえに、幸福感の残る物語でした。
[PR]
by umekononikki | 2011-01-14 09:54 |