展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

彼方なる歌に耳を澄ませよ

f0149664_8552157.jpg彼方なる歌に耳を澄ませよ
アリステア・マクラウド著
中野恵津子訳

18世紀末、スコットランドからカナダ東端の島に、家族と共に渡った赤毛の男と彼の子孫の物語。

以前読んだ「冬の犬」の著者の唯一の長編で、絶賛を浴びたベストセラーだそうです。「冬の犬」。良かったのですが、この本を手に取ったのは表紙の美しさでした。
そんな表紙の美しさ以上の、美しい物語です。
裕福ではないし、幸福のみの人生でもない。登場人物は皆、取り柄はあるが、もちろん短所もある。人は生まれ、いつかは死ぬ。そんな当然の事ばかりの取りとめもない日常。それでも一族のルーツを忘れない生き方に、大地に根付いた力強さを感じさせます。
そして愛情は、どこにでもある淡々と流れる日常の中で、気付かないうちに積もっていきます。そしてある時、振り返ってみると溢れんばかりになっているものなのですね。島独特の情景や、この一族独特の習慣のもとに物語は描かれていますが、そこにある愛情はいつの時代、どんな国の人間にも共通するものですよね。最後にはその愛情の深さに胸を打たれ、鳥肌の立つ思いで本を閉じました。
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by umekononikki | 2011-01-18 08:55 |