展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

アルトゥーロの島、モンテ・フェルモの丘の家

f0149664_92267.jpgアルトゥーロの島
エルサ・モランテ著
中山エツコ訳
モンテ・フェルモの丘の家
ナタリア・ギンズブルグ著
須賀敦子訳
(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-12)


「アルトゥーロの島」
ナポリ湾の小島で、自然を友とし野生児のように暮らす少年アルトゥーロ。不在がちな父が、ある日突然新妻を連れて島に戻ってきます。最愛の父に寄り添う彼女に少年は反感を覚えます。ストレーガ賞受賞作。
「アマルフィ」と言えば「織田裕二」だなぁ、などとどうでもいい事を考えながら読み始めました。実在の地名ですが、全くの空想の土地という設定。少年アルトゥーロはまさに野生児の様な生活を送っていました。学校にも通わず、洋服も満足に持っていないありさま。少年は父を心から愛しています。そんな少年アルトゥーロの成長記というには違和感を覚える内容。得意な環境で成長した割に強烈な個性が無いからなのか、ゆるい印象しか残らず、共感もできなかったなぁ。少年が作った虚構の世界に、浸っていられるのは子供の間だけ。少年は気が付くと成長し、女性を愛することを知り、身長も父と並ぶほどになります。虚構は虚構、現実を直視しなければならない時が来ます。野生児の様に育ったのに、案外、草食系なアルトゥーロ。そうか、草食系男子は、どのような環境でも草食系なのか。

「モンテ・フェルモの丘の家」
モンテ・フェルモの館<マルガリーテ>。そこはかつて若者たちが集う、不滅の友情の砦でした。時は流れ、それぞれが求めた自由への道は、多くの関係を壊し、絆を断ち切っていきます。
書簡形式で綴られています。そのため徐々に、登場人物の関係や各人の事情が分かるあたりが面白かったです。書簡形式だけに事件が起きたから連絡する訳で、受け取った当人(読者)にしてみれば突然の事件となります。そんな突然の事件が次々と起こり、何もかもが失われていくばかり。残酷ですが、失ってこれまでのしがらみが無くなり(亡くなったのですが・・・。)、自由を手に入れたかのようにも見えました。登場人物たちは何かを求めているようにも見えないし、無気力と言う訳でもなく、私には共感できなかったことが残念です。
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by umekononikki | 2011-03-09 09:02 |