展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

さすらう者たち

f0149664_9141430.jpgさすらう者たち
イーユン・リー著
篠森ゆりこ訳

1979年、舞台は中国。一人の女性が国家の敵として処刑されます。無実を知るかつての同級生は、夫と幼い息子の幸せな家庭を捨て、友の名誉回復のため、抗議活動を決意します。

毛沢東死後の中国。混乱と矛盾を抱えた国。人々は、より良い社会を求める気持ちはありますが、何より生活してゆかねばなりません。そこで生活していくために生まれた常識が、簡潔で明瞭に描かれていたように思います。私たちとは違う、良心や罪に対する距離感。淡々と語られる市井の人々の生活ですが、その基盤となる国家が、日本で生まれ育った私には想像できない情勢で、その中での生活なのです。一人の人間の中にも矛盾がある様に見えますが、私の持つ物差しではかれない価値観や常識があるからなのでしょう。
残酷であり、裏切りがあり、愛があり、正義がある混沌の中を、一陣の風が吹き抜けたような物語でした。素晴らしかったです。
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by umekononikki | 2011-03-15 09:14 |