展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

チボの狂宴

f0149664_9125224.jpgチボの狂宴
マリオ・バルガス=リョサ著
八重樫克彦・八重樫由貴子訳

1961年5月、ドミニカ共和国。31年に及ぶ圧政を敷いた稀代の独裁者、トゥルヒーリョの身に迫る暗殺計画。恐怖政治時代からその瞬間に至るまで、さらにその後の混乱する共和国の姿を、待ち伏せる暗殺者たち、トゥルヒーリョの腹心ら、排除された元腹心の娘、そしてトゥルヒーリョ自身など、さまざまな視点から複眼的に描きだす、圧倒的な大長編小説。2010年ノーベル文学賞受賞。

素晴らしかった。500頁ほどある大作、読みごたえは十分です。
独裁者トゥルヒーリョの暗殺の物語ですが、各人の視点から冷静に物語は展開します。事実の羅列以上にリアルで、ライブで観ているかのような臨場感。登場人物たちの行動や思惑が構築的に重ねられ、歴史の歯車が回る重みが伝わってきます。一人の独裁者と、独裁者が持つ権力に擦り寄るひとたち。そういった一部の人間に、国が国民の命が握られている滑稽なまでの悲劇。現在の北アフリカの情勢を重ねてしまいます。歴史を作るには、こんなにも血や涙を流さなければならないのでしょうか。
それにしても独裁者は、独裁者自身の原動力もさることながら、その「権力」にぶら下がる取り巻き達によっても、独裁者は作られていくのだなと感じます。「権力」という見えない物に、「武力」という実力が伴う訳ですが、そもそも「権力」とは何なのだろうと哲学してしまうほど、多くの事を考えさせられた物語でした。
それにしても、この物語の隙に無さには感服。図書館で借りましたが、購入して再読したいです。
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by umekononikki | 2011-03-31 09:13 |