展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ムーア人の最後のため息

f0149664_8575870.jpgムーア人の最後のため息
サルマン・ルシュディ著
寺門泰彦訳

才気溢れる芸術家にして絶世の美女オローラと、祖母の呪いにより倍の早さで年老いていくその息子モラエス(通称ムーア)。二人の幸せな関係は、運命の美女ウマの登場とともに終わりを告げ、ムーアはボンベイの暗闇に堕ちていく。第二次大戦前のインド独立運動から民族の対立が激化するテロの時代まで、「乳と蜜の流れる大地」の近代化を背景に綴られる魔術的物語。『ムーア人の最後のため息』と題する二枚の絵画の行方はいずこ?ホイットブレッド賞受賞作。

本を開いて「家系図」が・・・。「百年の孤独」を思い出し、これは難解な物語なのかと一抹の不安を感じます。杞憂に終わりましたが、それでもお気楽に読める様な内容ではありませんでした。とにかく、凄い一族。混沌の中、愛と憎悪の両刃の剣で互いを薙ぎ倒すような感じでしょうか。愛も憎悪も、とにかく鋭く激しい。そこがまさに香辛料的(とりわけ胡椒!)。この一族は、どうしてこうも極端な感情に身を投じてしまうのか。祖母の呪いにより倍の速さで老いていく主人公ムーアが、呪われた分一族の激しさを半減させたよう。それでも一族の悲劇に巻き込まれてしまうのも、また一族としての宿命だったのでしょうか。類は友を呼ぶとばかりに、一族を取り巻く人々も香辛料的!
本来であれば豊かな大地の上で生活している、豊かな才能を持った人類が、出口の無い混沌を突き破りたいジレンマを一族をもって代弁しているかのようでした。
熱にうなされた様なひと時でした。(もちろん良い意味で!)
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by umekononikki | 2011-04-14 08:58 |