展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

尼僧とキューピッドの弓

f0149664_944155.jpg尼僧とキューピッドの弓
多和田葉子著

官能の矢に射られたわたしは修道女。9人の尼僧が噂するのは弓道が引き起こした駆け落ち。積み重なる言葉、立ちのぼる女性の生と性――時と国境を超えふたつの物語が交差する書き下ろし長篇小説。

ドイツのとある町での修道女たちの日常を、簡潔に瑞々しく描いた物語でした。修道女という特異な集団の人間関係。修道女と信仰。私たちの日常と遠くかけ離れていない生活。
女性の集団生活ってこんな感じなのよ。中には駆け落ちしちゃった人もいるの。ってところが1部。2部では、その本人が内情を教えてくれますが、やっぱり教えてあげられるのはここまで・・・なぁんて、その絶妙な距離感。教会に、尼僧に、弓道に、禅。このミスマッチが私には共感できませんが、他人から見た女性の人生は、そんな矛盾と混沌としか説明できないところがあるのかもしれませんね。修道女たちもこれまで様々な経験をし、自分自身の中にある矛盾を感じています。他人には理解できない部分があることも知っています。駆け落ちした修道女も、全てを語りつくしても全てを理解してもらえる訳では無い事を、承知のうえでの種明かしだったのではないでしょうか。それでも知りたいと思うのが、他人が他人である所以。当事者と部外者の距離感を、切実に感じさせてくれるような物語のように感じました。
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by umekononikki | 2011-04-25 09:04 |