展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

草の花

f0149664_943748.jpg草の花
福永武彦著

研ぎ澄まされた理知ゆえに、青春の途上でめぐりあった藤木忍との純粋な愛に破れ、藤木の妹千枝子との恋にも挫折した汐見茂思。彼は、そのはかなく崩れ易い青春の墓標を、二冊のノートに記したまま、純白の雪が地上をおおった冬の日に、自殺行為にも似た手術を受けて、帰らぬ人となった。まだ熟れきらぬ孤独な魂の愛と死を、透明な時間の中に昇華させた、青春の鎮魂歌である。

静かで美しい物語。感想を書くにも、私の言葉でこの物語の世界が汚れてしまいそうで言葉を選びます。愛と孤独、生と死。そんな表裏一体の物を具象化するとこんな感じになるのでしょうか。掴むことのできない儚さや、煌めく時間、澄み切った空気が詰まったこの本は、大切な一冊になりそうです。
人を愛することの孤独。この世には様々な「愛」がありますが、純粋に人を愛する事は、孤独な行為なのでしょうか。非常に敏感なだけに、全てが見通せてしまった結果だったのでしょうか。「愛」とは一体何なのか、と考えさせられます。答えが導き出されるテーマではないのかもしれませんが、この美しい世界に居られるなら、答えが出せない堂々巡りに浸る幸せを感じます。そして、これまで読んだ「純愛」がテーマの物語が陳腐に感じるほど、深く胸に残ります。
再読するなら、汐見が死んだ日の様な雪が町を覆う日に、物語の世界を堪能したいです。(なんちゃって♪)
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by umekononikki | 2011-05-17 09:04 |