展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

真昼の女

f0149664_1028654.jpg真昼の女
ユリア・フランク著
浅井晶子訳

母はなぜ、子を捨てたのか。二つの世界大戦と東西分裂に揺れる困難な時代のドイツを舞台に、生ける屍となって戦場から戻ってきた父、精神を病んでいくユダヤ人の母という崩壊した家庭に育ち、心に深い闇をかかえて生きざるを得なかった一人の女性の半生を描く。いまドイツでもっとも注目されている新進作家の話題作。ドイツ書籍賞受賞。

面白く、魅力のある物語です。もっと戦争色が強いのかと思いきや、戦争がテーマではなく、物語はあくまで女性の半生。主人公の女性が、どのような生い立ちで、何を経験し、どうなったか。この困難な時代背景は、この物語に独特の雰囲気を与えています。希望や喜びを知る一方、それ以上の苦痛や嫉妬、悲しみやあきらめを経験し心の闇を徐々に深く暗くしていきますが、とにかく生き抜きます。面白かったのですが、読後すぐは主人公に共感できず納得のいかない気分で、物語の世界は手触りの悪いものでした。しかし今こうして振り返り感想を書いていると、その手触りが変化してきます。考えれば考えるほど、主人公に共感できるようになりました。(単に読解力不足!?)親子の愛や家族の愛、恋人との愛が力の無い物の様に感じられ、抜け道の無い時代背景や非情な運命に追い詰められながらも、淡々と1歩を踏み出す姿勢を応援しながら読んでいたため、ラストは分かっていたとはいえ裏切られたように感じたのでしょうか。それほど物語の世界にのめり込んでいたのでしょうね。
しかしそのラスト。重く暗く冷たく憂鬱な世界で、ハッピーエンドとは程遠いにも関わらず、爽快さを感じるほど不思議な魅力がありました。
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by umekononikki | 2011-05-30 10:28 |