展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ゾリ

f0149664_9244615.jpgゾリ
コラム・マッキャン著
栩木伸明訳

1930年代、ナチスの影におおわれたスロヴァキアでファシストに家族を惨殺され、祖父とともに辛くも生き延びたジプシーの少女ゾリ。音楽を生業とする仲間との旅暮らしのなかで、歌にのせる言葉を紡ぎ出す楽しさを知った彼女は、ジプシーの掟で禁忌とされる読み書きをひそかに習い、天賦の詩の才能を開花させていく。激しく揺れ動く東西ヨーロッパの戦後史を生きた、ひとりの女の人生をあざやかに描く長編小説。
気鋭のアイルランド人作家がジプシーの詩人パプーシャの実話に着想を得て、渾身の力で書き上げたこの物語は、英語圏で発表と同時に大きな反響を呼び、世界20カ国で翻訳出版が決定した。


トニー・ガトリフ監督の「ガッジョ・ディーロ(1997年)」を思い出しました。ロマの音楽が非常に良かったために、サントラのCDを買った位です。言葉の意味は全く理解できないのですが、どうしてこんなにも心が振るわされるのだろうと感動した事を思い出します。そんなロマの女性の物語です。
ロマの歴史というよりも、ゾリという一人の女性の数奇な人生の物語です。物理的に欧州を放浪するだけでなく、ロマの文化や、近代化や、自分は何者かなど精神面でも彷徨い続けたゾリは、最後に何処にたどり着くのかと思いながら読みましたが、そうか、そうよねと言いたくなるラスト。彼女の迷いながらも歩みを止めない力強さに、勇気づけられました。
物語の中では、エンリコの「俺がどうしてジプシーじゃないのか尋ねなかったんだい。」という言葉が印象的でした。人は皆違います。同じ人間はいません。それは当然だと、誰もが理解しているはずです。しかし社会では、国や宗教や会社に属していると、とかく忘れがちです。ゾリは迫害されているロマであり、図らずもそのロマ達からも追い出されることになり、どこにも属さない、まさに独りになってしまいます。たとえ国に属していようがいまいが、ロマ達に属していようがいまいが、「私は私」とばかりに、軽快な語り口で進み続け、一人の女性としてゾリという個人としての煌めきを感じました。
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by umekononikki | 2011-06-09 09:24 |