展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

慈しみの女神たち

f0149664_13113464.jpg慈しみの女神たち
ジョナサン・リテル著
菅野昭正、星埜守之、篠田勝英、有田英也訳

最近ブログの更新が滞ったのは、この本を読むのに手こずったからです。やっと読了です。

わたしはナチスの殺人者、しかし人間である。筆舌に尽くし難い、恐るべき歴史はいかにして起こったか――若干38歳の著者が、驚異的な知識と想像力で挑む。小説の域を超えたリアルさで世界的絶賛を浴びた、ナチ親衛隊将校の物語。2006年ゴンクール賞・アカデミー・フランセーズ文学大賞W受賞。

でかい、しかも分厚いうえに上下巻。表紙がエゴン・シーレ。かなりの読み応え!読みやすかったのですが、あまりの長さに途中何度となく挫折しそうになりました。
ナチ将校のアウエの視点からの戦争を、ドキュメンタリー映像を観ているかのように淡々と語られていきます。ユダヤ人の大量虐殺、スターリングラードの悲惨な戦場。残虐な行為が次々と描きだされるので眉をひそめながら読むのですが、どこか白黒映像を観ているような淡白さが、読む者の心情の助けになります。(これがカラー映像なら、登場する将校たちの様に、私も発狂していたでしょう!)また、戦争の悲惨な面ばかりでなく、戦争を指図する側の愚かさに、命を落としていく人々の無念を思うばかりです。何より、主人公アウエの視点が新鮮。人間的にも優れている訳でもなく、かといって愚かな人間でもない。微妙なポイントを突いた、興味深い人物設定の様に思いました。それにしても、このボリュームにこの精緻な内容。将校同士の会話が、当時の世相や常識を反映していて、まるでこの時代に行って見てきたかのよう。素晴らしかったです。
主人公アウエの、衝撃的な告白から始まった長い長い物語。戦争が終盤になり混沌の中で、アウエはどうなるのかと思うのかと、終盤は頁をめくる手が止まりませんでした。最後まで読んで良かった♪お疲れ様でした。
[PR]
by umekononikki | 2011-06-23 13:11 |