お家さん
2011年 07月 06日
お家さん
玉岡かおる著
大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木―そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。
関西に住んでいたのに、鈴木商店については知りませんでした。確かに、その後多くの有名企業に転身した鈴木商店を知らないなんて、関西人としては「もぐり」ですよね。改めて己の無知さを反省するばかり。
企業ドラマを期待していたので、読み始めると女性の視点から描かれた巨大商社の盛衰だったため、落胆しましたが、それも最初だけ。気がつくと夢中になって読んでいました。「お家さん」と呼ばれる主人公。やんわりとした導入部から、やはり巨大商社を作り上げただけに、徐々にその意志の強さを表してきます。女性にこの例えは申し訳ないのですが、巨大な石の様なイメージです。堅い意志と、揺るがない重さ。失敗し、成長し、困難が襲いかかっても動じない強さを身に付けます。上巻ではおおよそ順調に会社が大きくなってゆきます。その裏では、有能な人材が能力を思う存分発揮できる環境にあったからなのでしょう。まさにつわものぞろいで、未来への希望溢れる展開でした。下巻に入り、その勢いに陰りがさします。それでも企業という無機な物に、人の繋がりという血管を感じます。激動の時代を背景に、読み応えがある人間ドラマでした。
玉岡かおる著
大正から昭和の初め、日本一の年商でその名を世界に知らしめた鈴木商店。神戸の小さな洋糖輸入商から始まり、樟脳や繊維などの日用品、そして国の命である米や鉄鋼にいたるまで、何もかもを扱う巨大商社へ急成長した鈴木―そのトップには、「お家さん」と呼ばれる一人の女が君臨した。日本近代の黎明期に、企業戦士として生きた男たちと、彼らを支えた伝説の女の感動大河小説。
関西に住んでいたのに、鈴木商店については知りませんでした。確かに、その後多くの有名企業に転身した鈴木商店を知らないなんて、関西人としては「もぐり」ですよね。改めて己の無知さを反省するばかり。
企業ドラマを期待していたので、読み始めると女性の視点から描かれた巨大商社の盛衰だったため、落胆しましたが、それも最初だけ。気がつくと夢中になって読んでいました。「お家さん」と呼ばれる主人公。やんわりとした導入部から、やはり巨大商社を作り上げただけに、徐々にその意志の強さを表してきます。女性にこの例えは申し訳ないのですが、巨大な石の様なイメージです。堅い意志と、揺るがない重さ。失敗し、成長し、困難が襲いかかっても動じない強さを身に付けます。上巻ではおおよそ順調に会社が大きくなってゆきます。その裏では、有能な人材が能力を思う存分発揮できる環境にあったからなのでしょう。まさにつわものぞろいで、未来への希望溢れる展開でした。下巻に入り、その勢いに陰りがさします。それでも企業という無機な物に、人の繋がりという血管を感じます。激動の時代を背景に、読み応えがある人間ドラマでした。
by umekononikki
| 2011-07-06 09:01
| 本