展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

さらば、アルハンブラ

f0149664_1025689.jpgさらば、アルハンブラ
-深紅の手稿-
アントニオ・ガラ著
日比野和幸、野々山真輝帆、田中志保子訳

アンダルシアに忍び寄る激動の足音…。イスラムスペイン最後のスルタンの深層を描く!フランコ後の歴史小説ブームのなかで生まれた大ベストセラー、遂に完訳!プラネタ賞受賞作。

アンダルシアと言えば、かなり以前に観た映画「炎のアンダルシア」を思い出します。その頃、かなり映画にハマっていて、遠方の小さな映画館まで足を運んで観に行きました。調べてみると、1997年の作品で、舞台は12世紀。宗教弾圧の象徴、焚書から価値ある書物を守るため、主人公は東奔西走します。なかなか面白かったと記憶しています。そんな宗教対立も描かれていて、宗教とは何なのかと主人公ボアブディルと共に心を痛めました。
イベリア半島は8世紀から15世紀にかけてイスラーム勢力の王国が、高度な文化を育んできました。正直、この辺りの歴史は、勉強不足で苦手だなぁ。断片的にしか掴めていないので、少し調べてみるも、基本的な知識が無いので悪戦苦闘しました。
ざっくり歴史を追ってみると、共和政ローマにより支配されていたイベリア半島は、その後西ゴート王国(ゲルマン系の王国)に支配されたのち、イスラーム勢力ウマイヤ朝により制圧されます。
物語の時代は、レコスタンキ(国土回復運動)により、キリスト教勢力が半島のほとんどを制圧し、イスラーム勢力は南に追いやられたナスル朝(首都がグラナダだったため「グラナダ王国」とも呼ばれる。)のみ。この最後の君主、ボアブディル(ムハンマド12世)が物語の主人公です。
イスラームにスルタンと言えば、三日月刀を振り回すチャンバラ物を想像していましたが、上巻で国王は捕虜になり、グラナダ王国に不利な約束を結ばされます。さらに、政治的に大きな影響力を持っていた母親に振り回されているよう。軍事的な才能もなく、信じられる部下もいない孤独なスルタンの内面を綴った物語は、私の歴史的な知識の欠如も手伝ってか、読み辛かったのは事実。
しかし、ボアブディルはグラナダ陥落時の君主ではありましたが、彼一人の責任でグラナダが陥落した訳ではなく、抗えない歴史の大きな流れがあったはずです。そんな流れに飲み込まれた孤独のスルタンの内面は、どこか透明で、滅びゆく美学のようなものすら感じます。始まりがあれば終わりがあるのは必至とわかっていても、自身の存在理由や宗教とは何なのかと、様々な想いを巡らせてしまうやり切れなさが悲しさを誘いました。
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by umekononikki | 2011-07-12 10:25 |