展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

イルストラード

f0149664_93831100.jpgイルストラード
ミゲル・シフーコ著
中野学而訳

2002年2月、ニューヨークで活動を続けてきたフィリピン人亡命作家クリスピンが、ハドソン川にて死体で見つかった。彼の書斎からは、近代フィリピンを牛耳ってきた歴代の富と権力の内情を暴いた、執筆中の小説の原稿が消えていた。クリスピンの若き教え子ミゲルは、謎めいた死の真相を解明すべく、母国フィリピンへと旅立つ。やがて師の人生を追うことの本当の意味に気づきはじめたミゲルは、迷宮を抜けだす道を求めて、飛行機で離島へ向かう…。

「夏に読んでね。」と言わんばかりの鮮やかな表紙。内容はその反対で、混迷のインドネシアを描きだしています。クリスピンの作品やネットの書き込み、主人公のミゲルによるクリスピンの回想録と様々な断片が次々と繰り出されます。それぞれがバラバラにちりばめられたようで、ラストには繋がるのかな・・・と思いつつ読み進めました。ミステリーのような謎解きではなく、迷宮に迷い込む様な、どこを歩いているのか解らなくなるような感覚。慣れるまでは読み辛かったです。息苦しいまでの迷宮は、この猛暑の中では辛かったんですもの。断片が一つにまとまる構成は、最近よくみますが流行りなのでしょうか。それでもこの物語の、この感覚は新鮮でした。
政治的にも経済的にも混迷するインドネシア。物語中の混迷ぶりから、この国への興味が湧くとともに、物語としてもどこに着地するのだろうと次第に飲み込まれていきます。ラストのオチは途中で予想できるものの、そこに至る過程がお見事。さらに、その迷宮から抜け出せた爽快感。楽しめました。
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by umekononikki | 2011-07-15 09:38 |