展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

老首長の国

f0149664_116280.jpg老首長の国
ドリス・レッシング著
青柳伸子訳

自らが五歳から三十歳までを過ごしたアフリカの大地を舞台に、入植者と現地人との葛藤、古い入植者と新しい入植者の相克、巨大な自然を前にした人間の無力を、重厚な筆致で濃密に描き出す。ノーベル文学賞受賞作家の傑作小説集!

14の短編集。どの物語も秀逸でした。アフリカの大地の匂いと、互いに理解できない人間関係に、満たされない思いを抱く人間の織り成す世界に、独特の味わいがあります。結局は互いの利害をいかに上手く調整できるかで、人間関係って成立しているのかもと思います。自分以外は全て他人なのだと、当然のことながら、これほど明確に提示されると、孤独で悲しさを感じます。その当然のことゆえに、お互いに満たしあえないと気付かないさまが、どこか滑稽。「わかっちゃいるけど、やめられない。」じゃないですが、そんな自嘲も含まれているようで、寂しさだけでは終わらないところが魅力なのでしょうか。どの物語の中にも、補いようのない根本的な相違があります。あまりに根幹の部分だけに、理解する以前の問題です。その根幹の部分の相違が硬いしこりとなり、肉体の奥深くにあるのに手触りで分かるような、人間に対する洞察力は素晴らしかったです。短編集ながら、1つの長編を読んだような充実した内容でした。
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by umekononikki | 2011-07-25 11:06 |