展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

銀の匙

f0149664_940835.jpg銀の匙
中勘助著

なかなか開かなかった茶箪笥の抽匣(ひきだし)からみつけた銀の匙。伯母さんの無限の愛情に包まれて過ごした日々。少年時代の思い出を中勘助(1885-1965)が自伝風に綴ったこの作品には、子ども自身の感情世界が、子どもが感じ体験したままに素直に描き出されている。漱石が未曾有の秀作として絶賛した名作。

非常に良かったです。私自身が経験した訳でもない主人公の子供時代が、懐かしい世界として広がります。親の愛情を受けて幸福だった子供の頃の、記憶にない記憶がよみがえるような心地良さ。美しい日本語で綴られているからなのでしょうが、その言葉を通じて直接、脳裏に映像が浮かび、素直に世界に入ることができました。そんな子供の世界に浸かっていても、ごく自然に時間は流れ、ゆっくりと着実に成長し、当然のことながら少年は大人になります。その時間の流れの無理のないこと!人は生まれ、成長し、大人になり、老いてゆく。当然のことながらも、その営みの美しさを感じる、素晴らしい物語でした。
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by umekononikki | 2011-07-29 09:40 |