展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

犯罪

f0149664_9314569.jpg犯罪
フェルディナント・フォン・シーラッハ著
酒寄進一訳

一生愛しつづけると誓った妻を殺めた老医師。兄を救うため法廷中を騙そうとする犯罪者一家の息子。羊の目を恐れ、眼球をくり抜き続ける伯爵家の御曹司。彫像『棘を抜く少年』の棘に取り憑かれた博物館警備員。エチオピアの寒村を豊かにした、心やさしき銀行強盗。―魔に魅入られ、世界の不条理に翻弄される犯罪者たち。高名な刑事事件弁護士である著者が現実の事件に材を得て、異様な罪を犯した人間たちの哀しさ、愛おしさを鮮やかに描きあげた珠玉の連作短篇集。ドイツでの発行部数四十五万部、世界三十二か国で翻訳、クライスト賞はじめ、数々の文学賞を受賞した圧巻の傑作。

タイトル通り「犯罪」が描かれているのに、独特の透明感がある不思議な短編集。犯罪者の心理が、理解出来るような出来ないような、危ういバランスが面白かったです。どこか釈然としないまま物語が終わる物足りなさと、罪を犯した人と共感できない安堵が入り混じった複雑な心境。残酷な犯罪を淡々と語り、どこか現実離れしたようであり、実際にありえるかもと思わされます。罪を憎んで人を憎まずではないですが、犯罪の理由に酌量の余地があったり、犯罪として罪を問う事が出来るのかと考えさせられる犯罪だったり。そんな様々な二面性があるように思いました。罪を犯す人間の心の迷宮に、その罪を犯した本人と共に迷い込んだような、不安と混乱を感じる、まさに傑作でした。
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by umekononikki | 2011-09-01 09:31 |