展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

空高く

f0149664_10185771.jpg空高く
チャンネ・リー著
高橋 茅香子訳

イタリア系移民の父が興した造園業を息子にゆずり、軽飛行機三昧の日々を送る主人公。幼い二人の子を遺し、韓国系の妻が自殺めいた死に方をしてから四半世紀。母を喪った子どもたちを育ててくれた長年の恋人は去り、老いて施設に暮らす父はいよいよ衰え、結婚を控えた娘は、重い病に襲われる。愛する者を半ば遠ざけるようにして生きてきた男に、決断のときが迫ってくる。全米期待のコリアン・アメリカン作家による、三代に亘るカンバセイション・ピース。

人間関係に過去から未来まで、飛行機から見下ろす景色の様に見渡すことができれば、人生も少しは生きやすくなるのでしょうか。家族の心の中くらいは見ることができれば、少しは楽に生きられるのでしょうか。それとも、一人空を飛んでいる時だけは、完全な「孤独」という自由を得ることができるのでしょうか。そこにはしがらみも無いかわり、何もない世界の様に思えました。
初老の男が自身の人生を語る世界は、わずらわしい人間関係に、次々と起こる望まない出来事の連続です。そんな人生を長々と語る男が魅力的な訳もないのですが、その語りに気がつけば引き込まれてしまいます。
深い人間関係を望まないから、人生が上手くいかないのか。上手くいかないのではなく、独りじゃないことが「幸せ」であることに気付かないから、上手くいかないように感じていたのかもしれません。飛行機から地上に降り立つと感じるような、重力を感じる結末は良かったなぁ。面白かったです。
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by umekononikki | 2011-10-04 10:19 |