展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

菜食主義者

f0149664_15454920.jpg菜食主義者
ハン・ガン著
きむ・ふな訳

韓国で最も権威ある文学賞といわれている李箱(イ・サン)文学賞を受賞。ごく平凡な女だったはずの妻・ヨンヘが、ある日突然、肉食を拒否し、日に日にやせ細っていく姿を見つめる夫(「菜食主義者」)、妻の妹・ヨンヘを芸術的・性的対象として狂おしいほど求め、あるイメージの虜となってゆく姉の夫(「蒙古斑」)、変わり果てた妹、家を去った夫、幼い息子……脆くも崩れ始めた日常の中で、もがきながら進もうとする姉・インへ(「木の花火」)―3人の目を通して語られる連作小説集。

日常に潜む狂気。とても痛々しい物語ながらも、どこか美しく引き込まれる世界。いっそ狂気の世界に足を踏み入れてしまった方が幸せなのか、それとも現実に踏みとどまる方がマシなのか。どちらの世界も苦しくもあり、魅力的でもあり・・・。そのボーダーラインが見えたように感じました。理解不可能な他人の心。たとえ血の繋がった家族であっても、心の中までは覗けません。覗きこめるのは自分自身だけ。でも心の底まで覗いてしまうと、そこには狂気が待っているように思います。底まで見てしまうのか、手前で止めるか、覗くという誘惑に惑わされるか。そんな選択を迫られる状況に追いやられた3人の物語にも思えました。いやー、著者の世界観が独特で興味深く、面白かったです。
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by umekononikki | 2011-10-25 15:46 |