展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

古書の来歴

f0149664_1561390.jpg古書の来歴
ジェラルディン・ブルックス著
森嶋マリ訳

100年ものあいだ行方が知れなかった稀覯本「サラエボ・ハガダー」が発見されたと連絡を受けた古書鑑定家のハンナは、すぐさまサラエボに向かった。ハガダーは、ユダヤ教の「過越しの祭り」で使われるヘブライ語で祈りや詩篇が書かれた書である。鑑定を行ったハンナは、羊皮紙のあいだに蝶の羽の欠片が挟まっていることに気づく。それを皮切りに、ハガダーは封印していた歴史をひも解きはじめ・・・・。

サラエボ・ハガダーにまつわる数々の物語が、その古書に残された僅かな痕から写し出され、時間や空間を超えて長い旅をしたような気分にさせられました。それらは迫害や戦争などに重なり、悲しい物語が続きます。どうも宗教に関しては疎く、「ユダヤ教」と聞いてもピンと来ないのですが(己の無知を反省するばかりです。)、おぼろげな知識しかない私でも、夢中になる物語でした。その時代の社会情勢に翻弄される人々にやり切れなさを感じながらも、この美しいハガダーは人々の想いを刻んでゆきます。宗教は、人々の幸せを願うものなのに、あまりに切ない物語が刻まれるこのハガダーは、どのように誕生し、どんな道を歩み、未来には幸せを刻むことは出来るのだろうかと思いながら読み進めました。そして、やりきれない思いを抱えた人々の慰めになるように、そんな人々の傍に寄り添っているようにも感じました。面白かったです。
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by umekononikki | 2011-10-26 15:06 |