展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ソーラー

f0149664_1904134.jpgソーラー
イアン・マキューアン著
村松潔訳

マイケル・ビアードは、狡猾で好色なノーベル賞受賞科学者。受賞後は新しい研究に取り組むでもなく、研究所の名誉職を務めたり、金の集まりそうな催しで講演をしたりの日々。五番目の妻に別れを告げられた後は、同僚の発明した新しい太陽光発電のアイディアを横取りしてひと儲を狙っている。そんな彼を取り巻く、優しくも打算的な女たち。残酷で移り気なマスメディア。欺瞞に満ちた科学界とエネルギー業界―。一人の男の人生の悲哀とともに、現代社会の矛盾と滑稽さを容赦なく描き切る、イギリスの名匠による痛快でやがて悲しい最新長篇。

イヤなヤツっていますよね~。そんなヤツに限って悪運が強く、軽やかに世間を渡っているように見えるもの。いつか罰が当たりますようにと、心の中で呪いをかけたくなります。そんなヤツが主人公。とにかく全てにだらしが無い。しかしどこか憎みきれず、不快感は薄い。それでもやはり物語の中だからでしょうねぇ。同じ職場にこんな人がいても、間違っても近づきたくありません。物語の解説に「現代社会の矛盾と狡猾さ」とありましたが、現代社会のありようを擬人化するとこんな人間になってしまうのかしら。夜になっても昼間のように明るい町。食べるものはあふれ、不景気と嘆きながらも店には多くの品物が並んでいます。エネルギー問題が深刻化しているにもかかわらず、これまでの便利さを手放すことができない人々は、自分さえ良ければいい主人公と確かに重なる部分があるように思いました。ラストは、これも一つの爽快感かと思えましたが、私たちの未来かもと創造すると恐ろしくもあります。でも、物語は面白かったです。
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by umekononikki | 2012-01-24 19:00 |