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展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

幻影の書

幻影の書_f0149664_16263149.jpg幻影の書
ポール・オースター著
柴田 元幸訳

救いとなる幻影を求めて――人生の危機のただ中で、生きる気力を引き起こさせてくれたある映画。主人公は、その監督の消息を追う旅へ出る。失踪して死んだと思われていた彼の意外な生涯。オースターの魅力の全てが詰め込まれた長編。オースター最高傑作!

言葉が出ないくらい素晴らしかったです。やっぱりオースターはいいなぁ!と、思わずつぶやいてしまいました。様々な人たちの様々な人生が、ある一点でぶつかるような後半は、ページをめくる手を止められませんでした。生きることに意味を求めることの複雑さを感じます。家族やキャリアなど個人にとって変えがたいものを失った時の喪失感は、「神の思し召し」や「運命」というにはあまりにも残酷に感じます。そんな生きる意味を問う心境になった時、単純に答えを得ることはできず、その答えが正しい道なのかと迷うもの。生きる意味に正解はありませんよね。なぜなら、あらゆる未来が用意されているのですから。その未来が幸せな未来や辛い未来とどんな未来かは未知ですが、未来があるということが生きる意味なのかもと、思わず哲学してしまいました。何はともあれこの独特の読後感!面白かったです。
by umekononikki | 2012-02-18 16:26 |