展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

わたしの名は赤

f0149664_22292762.jpgわたしの名は赤
オルハン パムク著
宮下遼訳

1591年冬。オスマン帝国の首都イスタンブルで、細密画師が殺された。その死をもたらしたのは、皇帝の命により秘密裡に製作されている装飾写本なのか…?同じころ、カラは12年ぶりにイスタンブルへ帰ってきた。彼は件の装飾写本の作業を監督する叔父の手助けをするうちに、寡婦である美貌の従妹シェキュレへの恋心を募らせていく―東西の文明が交錯する大都市を舞台にくりひろげられる、ノーベル文学賞作家の代表作。国際IMPACダブリン文学賞(アイルランド)、最優秀海外文学賞(フランス)、グリンザーネ・カヴール賞(イタリア)受賞。

とても楽しめました。16世紀末のイスタンブルの濃厚なイスラム文化の世界になじみが薄い分、理解できるか不安ながらも、どこか間抜けな主人公カラに救われました。一人称で断片的に語られる殺人事件。芥川龍之介の「藪の中」の豪華版のようでした。殺人事件の犯人が誰かも気になりますが、同じくらいイスラムの文化に対する興味も、この物語の魅力でしょう。社会情勢も不安、人々の心情も落ち着かず、犯人は闇の中。とてもシリアスな状況にもかかわらず、登場人物たちのどこかゆる~い感じが、絶妙なバランス。ラストは圧巻で、事件解決だけにとどまらない味わいに、後を引く読後。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-03-23 22:29 |