展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

さもなくば喪服を

f0149664_1171195.jpgさもなくば喪服を
ドミニク・ラピエール、ラリー・コリンズ著
志摩隆訳

現代スペインの象徴とも称される偉大な闘牛士エル・コルドベス。内戦下に生まれ、飢えから逃れる唯一の手段として闘牛士を目指し、時に重傷を負い、命さえ落としかねない険しい道を歩みはじめた青年。彼はその荒々しい技でスペイン各地に興奮をもたらし、首都マドリードの大闘牛場を熱狂する観衆であふれさせる。無の境遇に生まれた男が自らの強い意志で這い上がり勝利を手にするまでの壮絶な半生を鮮烈に描いた驚嘆と感動のノンフィクション。

闘牛士というだけで十分すさまじいエンターテイメントなのに、そこにたどり着くまでの半生もすさまじい。豪奢な衣装に身を包んだ闘牛士が牛を追い詰める、「命をかけた」という表現が誇張ではなく、現実に多くの闘牛士が命を落としている闘牛の世界。貧困から抜け出すため、一攫千金の代償が「命」とはあまりに重い。闘牛士になるまでに、その重さを十分身にしみて感じてるはずなのに、闘牛士の道を歩む力強さ。その道のりと重なるように、スペインも激動の時代を送ります。そんな歴史的な背景が国民性に影響するのでしょうか。闘牛の血生臭さと、男の汗と、そして観衆の熱狂の世界が、奥深く感じられました。そこには理屈では表現できない興奮があるのですね。興味深く読みました。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-04-21 11:06 |