展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

よくできた女

f0149664_1532740.jpgよくできた女
バーバラ・ピム著
芦津かおり訳

舞台は、まだ食料配給がつづく戦後のロンドン。ヒロイン兼語り手のミルドレッドは30歳を過ぎた独身女性。両親の残してくれたささやかな収入に頼りつつ、パートタイムで働く彼女は、平穏な生活を送っていた。そんな彼女の住むフラットの下に、文化人類学者のヘレナと海軍将校の夫が引っ越してきた。美人で魅力的だが家事はさっぱりのヘレナと、ハンサムで女たらしのロッキーという「華のある」夫妻の登場で、ミルドレッドの静かな生活に波風が立ちはじめる……
さしたる大事件も突出した人物もないのに読者をうならせる。定年退職小説『秋の四重奏』で日本の読者の心もつかんだ、バーバラ・ピム。没後に評価ますます高まり「20世紀のオースティン」とも称される英国女性作家ピムの代表作にして、「おひとりさま」小説の傑作を、瑞々しい訳文で楽しまれたい。


独身女性の独り言は、時代も国も問わず共通なのですね。登場人物たちが人間くさくて面白く、そのセンスのよさにページをめくる手が止まりませんでした。ヒーローが登場するわけでもないありふれた日常(と言っても、戦後のイギリスという舞台が、私にとっては非日常ですが…。)が、素敵な物語になるのですから驚きです。思わず自身の日常を振り返ってしまいましたが、やはりこのような物語にはなりそうもありませんでした。いや、私の目の付け所に、センスが無いのでしょうね。(同じ独身女性なのに!)
でも考えてみれば、朝起きて会社へ行くだけのありふれた毎日でも、それが永遠に続くわけもなく、それなりの変化はあったのです。会社では人事異動があったり、いつも一緒にコンサートへ行っていた友達が結婚して本物の「おひとりさま」になったり…。そんな時にどう思ったかなんてことを日記にでも書いていれば、素敵な物語になったかもしれませんね。
なにより、シニカルで魅力的な視点の、彼女の独り言をずっと聞いていたいと思いました。
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by umekononikki | 2012-05-16 15:32 |