展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

土地

f0149664_1003920.jpg土地
朴 景利 著
金 正出 監修
金 容権 訳

物語は慶尚南道河東郡平沙里の大地主・崔参判家の当主崔チスの若妻が、下男のクチョンと駆け落ちする場面から切って落とされる。ところが数奇なことには、崔チスと下男のクチョンは異父兄弟であった。産みの母の尹氏は、この道ならぬ逃避行を心中では喜んでいたのだ。崔参判家の血族が織り成す波瀾万丈の「全体小説」刊行!韓国文学史に燦然と輝く国民的大河小説。

f0149664_1005956.jpg完全版ではなく青少年向きに縮められたダイジェスト版の完訳のためか、読み物としては物足りなさを感じます。しかし読後の今では、完全版が読みたいと思うくらいの高邁な物語でした。国があり、歴史があり、そこで生きる人々がいる。そんな大きな懐に包まれた物語で、非常に読み応えがあります。
日韓関係の非常にデリケートな時代が物語の背景で、自国の歴史や文化がいかに尊ぶべきものかということが表現されているように感じました。激動の時代に、人々がどのように生きたか。信念を貫くもの。自身の利益に走るもの。あきらめるもの。時代に押しつぶされるもの。多くの登場人物を通して、ここまで深く掘り下げることができる作者に驚かされます。その登場人物たちの中で、物語のきっかけとなるソヒとキルサンの関係が最後まですっきりしなかったのは残念。「あとがき」にもありましたが、もう少し先の時代まで書きたかったのかもしれませんね。この先も激動の時代が続くのですから…。
近年の目覚しい発展を遂げた韓国の一面を感じることができました。非常に勉強にもなりましたしね。読んでよかったです。
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by umekononikki | 2012-05-24 10:01 |