展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

歌の翼に

f0149664_19591860.jpg歌の翼に
トマス・M・ディシュ 著
友枝康子 訳

歌をうたうことによって肉体から精神を解き放つこと、それが「飛翔」である。宗教と経済に支配され食料危機が慢性化した近未来アメリカにおいて禁止されている「飛翔」の魅力にとりつかれた少年ダニエルは、ある日突然アイオワの有力者の策略により刑務所へ、そこから彼の数奇な流転の人生がはじまる。SFのみならずゲイ小説、教養小説、音楽小説などのあらゆる要素を投入しながら、支配する者とされる者の宿命、芸術の喜びと悲惨をエモーショナルに描く、奇才ディッシュの半自伝的長篇にして最高傑作がついに復刊。

最後まで緊張感があり、物語の世界に飲み込まれたように夢中で読みました。少年ダニエルの成長物語である反面、現代社会への皮肉とも取れるように感じました。解説によると1979年に出された本だそうですが、物語の世界は、今のアメリカだけでなく日本を含め世界的な行き詰まった空気と重なります。そんな世界からの「飛翔」なのでしょうか。「飛翔」することはこの世界からの解放の様にも感じますが、ダニエルは「飛翔」したいと願い努力するも実行に移すにはためらいを感じます。「飛翔」が目的ではなく手段のようにも思えできたのでしょうか。何かを暗示するようなラストは秀逸です。
それにしても物語の全てを理解するには、私の知識があまりに無さすぎるのかも。最も小難しいことを抜きにしても十分楽しめましたが、知識があればこの何倍も楽しめたかもしれませんね。
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by umekononikki | 2012-06-21 19:59 |