展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

タタール人の砂漠

f0149664_14375994.jpgタタール人の砂漠
ディーノ・ブッツァーティ著
脇 功 訳

砂塵にけむる幻の戦士たち。幻影のなかに"時"が沈む…。北の砂漠から伝説的なタタール人が襲来してくるのに備えて三十年余も辺境の砦で過ごす将兵たち。二十世紀の幻想文学の世界的古典を翻訳。

砦世界の描写が素晴らしく、物語りの世界にひたって一気に読んでしまいました。そして、あまりのやりきれない結末に、久々に物語でよかったと我に返りました。こんな人生は辛すぎるといって、明日から頑張ろうという気分にもなれないくらいの劇薬かも。タタール人の襲撃に備えるという人生の選択が、あたかも運命のようでもあり、他にどうしたら良かったかとベストな選択のような幻想を抱いてしまいます。それが運命の罠なのか、自身の弱さなのか。しかし誰しも楽な方を選択したいもので、それについて責めることは酷なようにも思います。本当は単純なことなのだけれど、物語の幻想の世界に迷い込み、容易には答えの出せない複雑な心境です。どんなことをしていても時間は流れ、老いて、死を迎えるって当然のことなんだけど、振り返れば私の青春も既に遠い過去。浦島太郎の気分。多くの可能性と考えさせられる要素が埋め込まれた物語でした。
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by umekononikki | 2012-07-03 14:38 |