展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

狙われたキツネ

f0149664_11133823.jpg狙われたキツネ 新装版
ヘルタ・ミュラー 著
山本 浩司 訳

チャウシェスク独裁政権下のルーマニアを舞台に家宅侵入、尾行、盗聴。つきまとう秘密警察の影に怯える日々。そうしたなかで、ひとりの女が愛にすべてを賭ける。しかしそれには、親友との友情を引き裂くものだった…ノーベル文学賞受賞!祖国を追われた女性作家ヘルタ・ミュラーが描くチャウシェスク独裁政権下のルーマニアを舞台に繰り広げられるあまりに切ない物語。

断片的に書かれる様々な場面が、徐々に物語の形になっていく構成が面白かったです。チャウシェスク独裁政権下の希望を奪われた世界が、映像を見ているかのように鮮明に描かれている様に息苦しさを覚えました。常に誰かに見張られているような、何をしても堂々巡りで這い上がることもできない絶望を感じます。独裁政権が倒れた時のニュースは衝撃的でしたが、その一方でこのような実情だったのだと、ニュースで知る以上のことを感じることができました。「あとがき」にもありましたが、経験した者しか表現できないリアリティがあるからなのでしょうね。そして、ラストの言葉が非常に印象的。この独裁政権が、どれほど深く国を蝕んだかが胸に突き刺さるようです。
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by umekononikki | 2012-07-15 11:13 |