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by 梅子

灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)

f0149664_1973321.jpg灯台へ/サルガッソーの広い海 (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-1)

灯台へ
ヴァージニア・ウルフ 著
鴻巣 友季子 訳

灯台を望む小島の別荘を舞台に、哲学者の一家とその客人たちの内面のドラマを、詩情豊かな旋律で描き出す。精神を病みながらも、幼い夏の日々の記憶、なつかしい父母にひととき思いを寄せて書き上げた、このうえなく美しい傑作。新訳決定版。

10年を隔てた2日間を、こんなにも効果的に結びつけちゃうところが凄いなと。10年という歳月を隔てて、本来ならばその間の変遷が物語りになるところを見事にすっ飛ばしながらも、家族と家族にまつわる人々のつながりを描き出しています。いや、10年をすっ飛ばすことが、非常に効果的に活用されているのでしょうね。とにかくそれに驚かされました。存在と思念と記憶、そして時間。それらの渦に飲み込まれたような、濃厚な時間を味わいました。


サルガッソーの広い海
ジーン・リース 著
小沢 瑞穂 訳

奴隷制廃止後の英領ジャマイカ。土地の黒人たちから「白いゴキブリ」と蔑まれるアントワネットは、イギリスから来た若者と結婚する。しかし、異なる文化に心を引き裂かれ、やがて精神の安定を失っていく。植民地に生きる人間の生の葛藤を浮き彫りにした愛と狂気の物語。

解説を読んで、なるほどと感じました。「ジェイン・エア」の登場人物から、別の物語りをつくりだしています。しかも「ジェイン・エア」とは正反対の、暗く救われない物語として・・・。植民地で生まれた主人公の自分で自分に足枷をはめてしまったかのような救われなさが、植民地の全ての人々のジレンマを代弁しているように感じました。奴隷制度や生まれた土地。自分の中に流れる血。全て自ら望んで生まれてきたわけではないのに、逃れることのできないしがらみを二重にも三重にも巻きつければ、その宿命から守ってくれるかのようなやるせなさを感じました。あまりの救われなさが印象的でした。
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by umekononikki | 2012-07-22 19:07 |