展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ディビザデロ通り

f0149664_19415958.jpgディビザデロ通り
マイケル オンダーチェ 著
村松 潔 訳

血のつながらない姉妹と、親を殺された少年。一人の父親のもと、きょうだいのように育った彼らを、ひとつの恋が引き裂く。散り散りになった人生は、境界線上でかすかに触れあいながら、時の狭間へと消えていく。和解できない家族。成就しない愛。叶うことのない思いが、異なる時代のいくつもの物語を、一本の糸でつないでいく―。ブッカー賞作家が綴る、密やかな愛の物語。

「コラージュのような」物語の、その切り取られた断片がどれも魅力的。一見すると意味のないものばかりを詰め込んだ箱でも、実は全てが大切なものばかりの宝箱のよう。それらをたどってゆくと、全てが思い出で繋がってゆくような、消えることのない思いがあるんだと安心させられるような暖かさがありました。思い出は人の心の中にしか存在しない物。しかし反面、形ある個人が消えてしまっても、形のない思い出は、誰かの心の片隅に残り受け継がれてゆくのかもしれません。そんなことを想像させられる、素敵な物語でした。子供のころ聞いた昔話のように、結末がどうなったか思い出せないような、結末よりもその過程が面白く印象に残った、そんな懐かしさを感じます。
[PR]
by umekononikki | 2012-07-25 19:42 |