展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

ブルックリン

f0149664_13165336.jpgブルックリン
コルム・トビーン著
栩木伸明訳

ジョイス、マクガハン、トレヴァーの系譜を継ぐ、アイルランド文学の至宝!
舞台はアイルランドの田舎町エニスコーシーと、ニューヨークのブルックリン、時代は1951年ごろから2年間あまり。主人公アイリーシュはエニスコーシーに母と姉とともに暮らす若い娘。女学校を出て、才気はあるが、地元ではろくな職もないので、神父のあっせんでブルックリンに移住する。そしてアイリッシュ・コミュニティの若い娘たちが住む下宿屋に暮らし、デパートの店員となる。しかしホームシックに悩み、簿記の資格をとるため夜学に通い、週末にはダンスホールに行く。そこでイタリア移民の若者トニーと恋に落ちるが、思わぬ事情でアイルランドに帰国する。ブルックリンへ戻るつもりでいたが、地元でハンサムなジムと再会する……。当時の社会と文化の細部を鮮やかに再現し、巧みな会話と心理描写が冴えわたる傑作長編。


成長途上の若い女性の機微が手に取るように感じられ、素晴らしかったです。アイルランドのアイリーシュとアメリカで生活するアイリーシュ。同じでありながら違う人物のように、どちらの世界が自分の世界なのかと揺れ動く心がたまらないほど伝わって来ました。物語は彼女の人生の2年ほどを切り取ったに過ぎず、結論は出ず、未来は読者にゆだねられています。そんな訳で想像してみました。個人的には、せっかくタイトルにもなったんだからブルックリンで頑張って欲しいなと。アイルランドでは過去より成長した自分に満足しているだけで、すぐに過去の自分に追いつかれてしまうと思うのよね~。でもブルックリンに帰っても、残念ながらトニーとは上手くいかないような気がします。トニー。好きなキャラクターなんだけど、思われすぎるってのも辛いものがあります。相手を思うより少しだけ多く相手が自分を思ってくれるくらいがちょうどいいのにね。トニーはアイリーシュが世界の全てになりつつあるようです。(もちろん野球は別ですが・・・。)一方、アイリーシュはまだまだブルックリンという世界で得たいものが多くあるようですしね。でも賢い彼女のこと、きっと幸せになれるという希望も感じられました。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-09-22 13:16 |