展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

水曜日のうそ

f0149664_1548245.jpg水曜日のうそ
クリスチャン・グルニエ著
河野万里子訳

水曜日のうそは、優しさの裏がえし?
毎週水曜日の正午におじいちゃんはやってくる。15歳の孫娘は大好きなおじいちゃんの話し相手になるのだが、話はいつも腰痛と昔の思い出話。おじいちゃんの息子である父が、そんなおじいちゃんを迎えることに嫌気がさしてきたころ、父の仕事の都合で孫娘一家は引っ越しをすることに。新しい転居先へ高齢のおじいちゃんをつれていくことはできないと考えた家族は、毎週水曜日の正午だけ、以前の家にもどることに決めた。引っ越したことを悟られまいと孫娘一家は、おじいちゃんにうそをつく。しかし、うそをついていたのは孫娘一家だけではなかった。お互いがお互いを思って「うそ」をついた、優しさにみちた家族の物語。
2005年 ナント賞受賞、クロノス賞最終候補に輝いた秀作。


短い物語りながらも、多くを考えさせられた物語。
「うそ」でしか、互いを思う優しさを表現できなかった家族に寂しさを感じます。優しさという暖かさと、「うそ」という冷たさに、胸を締め付けられる想いです。一番共感できるのはおじいちゃんの息子である父。自身の「うそ」のために、相手にまで「うそ」をつかせてしまったことへの後悔。身近にも相手のための小さな「うそ」は、誰にでも沢山あるのではないでしょうか。そんなおじいちゃんも、息子が後悔の念に駆られるだろう事を想像しなかったのでしょうか。息子のためについた「うそ」も、結局は息子を苦しめることになったのですから。「うそ」は「うそ」でしかなく、相手のためなんていうのはナンセンスなのでしょうね。そんな中で孫娘たちのエピソードや、新しい命の誕生など、煌めく要素がちりばめられ、悲しみの中に希望の光が差す素敵な物語でした。加えて本の装丁も素敵です。
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by umekononikki | 2012-10-09 15:48 |