展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

サーカス象に水を

f0149664_20335349.jpgサーカス象に水を
サラ・グルーエン著
川副智子訳

大テントの中に鳴り響く、大歓声と拍手。いよいよ目玉の演目、象の曲芸がはじまった。と、異常事態を知らせるマーチが場内に鳴り響く!逃げ惑う客、脱走する動物たち―そのとき、ぼくは見てしまった。「彼女」があいつを殺すところを…。それから70年。93歳の老人は、移動サーカスで過ごした四ヶ月間を語り始める。芸なしの象、列車から捨てられる団員、命がけで愛した女性、そしてサーカス史上に残る大惨事のさなかに起こった、あの静かな「殺人」のことを。

これは面白かったです。23歳の青年ジェイコブがいきなり世間の荒波に飲み込まれ、様々な試練を乗り越え成長する一方で、人生も終焉を迎えた93歳のジェイコブにも波が押し寄せてきます。70年の時を経た二人のジェイコブが重なるようで、若さで乗り越えた波も素敵でしたが、年老いたなりに乗り越える波にも胸が熱くなるような感動がありました。
それにしても、アメリカ大恐慌時代のサーカス興行の実態が興味深かったです。多くの人間と、多くの動物。多くの荷物を積んで列車での大移動。華やかなサーカスの舞台を運ぶ列車は、多くの人々の人生も乗せ、一歩間違えばそこから振り落とされるのですから、光が強いほど影も濃くなるものなのですね。
因みにこの物語は映画化され、邦題は「恋人たちのパレード」。映画を観ていない私には、何がどうなってこの邦題になったのか疑問ですが、映画化されて当然の様な、まさに映画を観ているような物語です。どんな俳優が出ているのか気になりますし、週末ちょっと観てみようかなと思います。
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by umekononikki | 2012-10-13 20:34 |