展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

夜と灯りと

f0149664_9543189.jpg夜と灯りと
クレメンス・マイヤー著
杵渕博樹訳

元ボクサーの囚人、夜勤のフォークリフト運転士、ドラッグに溺れる天才画家、小学生に恋する教師、老犬と暮らす失業者、言葉の通じない外国人娼婦に入れ込むサラリーマン―。東西統一後のドイツで「負け組」として生きる人間たちの姿を、彼ら自身の視点から鮮やかに描き出す12の物語。極限まで切り詰めた言葉の積み重ねが、過酷な日常に射すかすかな光を浮き彫りにする。ライプツィヒ・ブック・フェア文学賞受賞。

独特な世界観が良かったです。東西統一後のドイツ「負け組」を主役の短編集なだけに、暗いし閉塞的なんだけど、どこかおとぎ話めいた現実と幻想の間を漂うようなほのかな灯を感じました。考えてみればどの物語も「そんなヤツいるかぁ~?」と思える人物ばかりが登場します。人生は上手くいかない時もあります。上手くいかないことが続くときもあります。そして上手くいかないまま終わっちゃうこともあります。でもそんな人生が「不幸」だと、結論付けられるでしょうか。子供向けの物語なら「そうじゃないよ」と分かる一節が入るのでしょうが、ここは大人の物語。しかも人生を、そんな簡単に結論付けられないことも重々承知しています。その複雑さを形にしたら、こんな物語ができましたといった感じです。一見救いようが無い閉塞感に息が詰まるのですが、読後はそんな登場人物たちに光を当ててあげたくなるような気分になりました。
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by umekononikki | 2012-10-14 09:54 |