展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

無声映画のシーン

f0149664_20202578.jpg無声映画のシーン
フリオ・リャマサーレス 著
木村 榮一 訳

少年であり少女だった、すべての人に。心にしみる28のショート・ストーリー 。この30枚の写真は、ぼくが切なく楽しい少年時代に帰る招待状だった。『狼たちの月』『黄色い雨』の天才作家が贈る、故郷の小さな鉱山町をめぐる大切な、宝石のような思い出たち。誰もがくぐり抜けてきた甘く切ない子ども時代の記憶を、磨き抜かれた絶品の文章で綴る短篇集。

自身の少年時代の記憶なんだけど、その記憶の中に生きるもう一人の自分が、小さな出来事を積み重ね緩やかに成長していく物語のように思えました。時間というどうあっても前にしか進まないものを、自在に操っているような、不思議な雰囲気がかなり好みです。記憶は年をとるごとに薄れていきます。しかし時々、何かの拍子にふっと思い出す断片。その断片は妙に鮮明で、妙に現実味をもって目の前に現れることってありますよね。そんな時間を逆に回したような不思議な瞬間を具象化した印象です。そしてそこでももう一人の自分が、現実世界以上のきらめきを持って動いています。時間によって過去の出来事が凝縮され、濃厚になったかのようです。誰もが必ず振り返る子供時代の記憶を、記憶と言う形でここまで昇華させ、なんとも素晴らしい限りです。
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by umekononikki | 2012-10-27 20:21 |