展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

粛清

f0149664_19502848.jpg粛清
ソフィ・オクサネン著
上野元美訳

エストニアの小村に暮らすアリーダは、ソビエト統治時代の行ないのせいで近隣からいやがらせを受けながらも、家族の土地を守りながら細々と生活している。ある朝、彼女は家の庭に見知らぬ若い女が倒れているのを発見する。またいやがらせ?あるいは、最近流行りの盗賊の一味?悩みながらも、アリーダは衰弱している女を家にあげてしまう。その女はエストニア語を話すロシア人で、名前をザラといった。誰かから逃げているようだが、理由ははっきりしない。行動も奇矯だった。だが、孤独なアリーダは、ザラを家に匿うことに決める。―激動の歴史に翻弄されたふたりの女の邂逅を描く、フィンランドの新鋭作家の代表作。

物語の背景以上にアリーダの生き様が凄まじく、悲劇的な力強さに惹かれます。彼女の想いは濁り不純なのですが、物語の時代とあいまって許されるようにも感じます。だからこそ余計にやるせなさが増すのでしょうね。
「粛清」というタイトルから、もっと政治がらみの内容かと想像しましたが、二人の女性の人生が中心にすえられています。彼女たちが抗うことのできない国の体制の中、いかに力強く、いかに狡猾に、いかに苦しみ、いかに耐えたかと様々な思いでページをめくりました。そんな不条理な世の中だからこそ、私たちの日常とは違った価値観で彼女たちの生き方を計ると、私たちの日常では到底受け入れられない彼女たちの行動も当然とばかりに感じてしまいます。
伏線も巧妙に引かれていて、非常に読み応えがありました。
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by umekononikki | 2012-11-11 19:51 |