展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

タイガーズ・ワイフ

f0149664_22543978.jpgタイガーズ・ワイフ
テア・オブレヒト著
藤井光訳

「不死身の男」と「トラの嫁」。二つの謎めいた物語が、祖父の人生を浮き彫りにする。自分は死なないと嘯き、賭けを挑む男。爆撃された動物園から逃げ出したトラと心を通わせた少女。紛争地帯で奮闘する若き女医は、二つの物語から亡き祖父の人生を辿っていく。戦争に打ちひしがれた人々の思いを綴る確かな筆致と、鮮やかな幻想性。弱冠25歳でオレンジ賞を受賞したセルビア系作家による、驚異のデビュー長篇。

紛争の絶えない土地での幻想的な物語は、何かを暗喩しているようでもあり、ただの御伽噺のようでもあり、その鮮やかな幻想世界に取り込まれてしまいました。祖父の語る祖父の人生を通じて、戦争や人間のエゴや愛など、多くの世界を垣間見るような広がりを感じました。戦争は人々の心を疲弊させますが、そんな中でも祖父の人生が幻想と現実の中で生き生きとしている様に、孫娘の人生にも希望を感じさせてくれます。トラの描写は生々しく、不死身男はあくまで幻想の中の道化といった、二つの物語が対比しているようにも感じるところが面白かったです。
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by umekononikki | 2012-11-12 22:54 |