展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

手紙

f0149664_19591697.jpg手紙
ミハイル・シーシキン著
奈倉有里訳

ワロージャは戦地へ赴き、恋人のサーシャは故郷に残る。手紙には、別離の悲しみ、初めて結ばれた夏の思い出、子供時代の記憶や家族のことが綴られる。だが、二人はそれぞれ別の時代を生きているのだ。サーシャは現代のモスクワに住み、ワロージャは1900年の中国でロシア兵として義和団事件の鎮圧に参加している。そして彼の戦死の知らせを受け取った後もなお、時代も場所も超えた二人の文通は続く。サーシャは失恋や結婚や流産、母の死など様々な困難を乗り越えて長い人生を歩み、ワロージャは戦場での苛酷な体験や少年の日の思い出やサーシャへの変わらぬ愛を綴る、二人が再び出会う日まで。

小説ならではの世界での、素敵な物語でした。繋がるはずのない二人が、手紙を通して繋がってゆく想いが愛おしく感じました。時代も場所も全く違う二人の手紙のやり取りで進行する、大人向けのメルヘンといった感じでしょうか。こんな風に互いを思い合えたら素敵だなと思う一方、二人の主人公は辛い人生を送るのですが、それだけで幸せの量を量ることができないところが、生きるということの不思議なところですね。その生きるということの対極にある「死」が二人の周囲には常に付きまとうのですが、戦場にいるワロージャにある「死」と、現代社会に生きるサーシャの「死」とは、同じ「死」でもこんなにも違うものに感じるものなのでしょうか。そして互いに思う気持ちは形には残せませんが、何かしらの意味を持って、この世の中に存在するんだなと改めて感じました。
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by umekononikki | 2012-12-06 19:59 |