展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

フランス組曲

f0149664_15593721.jpgフランス組曲
イレーヌ・ネミロフスキー著
野崎 歓 、 平岡 敦 訳

一九四〇年初夏、ドイツ軍の進撃を控え、首都パリの人々は大挙して南へと避難した。このフランス近代史上、最大の屈辱として記憶される「大脱出」(エクソダス)を舞台に、極限状態で露わとなる市井の人々の性を複線的かつ重層的に描いた第一部「六月の嵐」。ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町を舞台に、留守を守る女たちと魅惑的な征服者たちの危うい交流を描く第二部「ドルチェ」。動と静、都会と地方、対照的な枠組みの中で展開する珠玉の群像劇が、たがいに響き合い絡み合う。
著者は一九〇三年キエフ生まれ。ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。四二年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。命がけで書き綴られたこの原稿が六十年以上の時を経て奇跡的に世に出るや、たちまち話題を集め、本書は「二十世紀フランス文学の最も優れた作品の一つ」と讃えられて二〇〇四年にルノードー賞を受賞(死後授賞は創設以来初めて)。フランスで七十万部、全米で百万部、世界でおよそ三五〇万部の驚異的な売上げを記録(現在四十カ国以上で翻訳刊行)、映画化も進行中である。巻末に収められた約八十ページに及ぶ著者のメモや書簡からは、この奇跡的な傑作のもう一つのドラマが生々しく伝わって来る。流麗なる訳文で贈る、待望の邦訳。


厚めの本ながら、夢中で瞬く間に読了。物語の背景を考えることも重要ですが、まずはその物語の世界の魅力に引き込まれました。「大脱出」の緊張感で息もつかせぬ一部と、占領下でありながらどこか牧歌的なのどかさを感じさせる二部。未完でありながらも、対照的なこの二部だけでも十分に読み応えのある内容でした。とはいえ、続きはやはり気になるところ。巻末にその手がかりとなるノートの内容が掲載されていることが救いです。それでもある程度先のことしか推測できず、最終的な結末は分かりません。(もっとも著者自身も、まだ考えがまとまっていなかったようですが。)未完でありながらも、これだけの読み応えがある内容なのですから、完成していたら傑作となっていたでしょう。
そしてやはり書かずにはいられないのは、この物語の来歴。アウシュヴィッツで亡くなった著者の形見のトランクから出てきたんですから、物語以上にドラマチックなことですよね。映画化も進行中のようですが、できればその後の物語も少しは付け加えて欲しいなと・・・。せっかく手がかりも残っていることですしね。
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by umekononikki | 2012-12-27 15:59 |