展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

澄みわたる大地

f0149664_15245762.jpg澄みわたる大地
カルロス・フエンテス著
寺尾隆吉訳

外交官の子息として少年時代からアメリカ大陸の名だたる諸都市を渡り歩いた著者は、20代半ばでようやく母国に落ち着いた。彼は「余所者のメキシコ人」として、多様な人種と社会階級が混在する猥雑な大都市=メキシコ・シティに魅せられた。無名に等しい作家の初長編は、斬新な文学的実験、方言も俗語も歌も叫びも、そして沈黙すら取り込んだ文体、街中から/豪邸から/スラムから聞こえてくる複数の声の交響によって、「時代の感性」を表現し、人びとの心を鷲づかみした。

今通っている図書館に無かったので、初めてリクエストした本。嬉しいことに購入後、1番に読むことができました。
さて、感想です。細切れな断片と次々出てくる登場人物に、読み始めは少々辛かったかも。それでも徐々に物語らしくなってきて、何とか読了。物語が立ち上がってくる快感は薄いのですが、そのエネルギーの大きさには圧倒されました。とにかく多くの声・声・声!様々な世代に、様々な階級のひとたち。そんな、歴史の流れに翻弄されたと俯瞰的に見れないほどの、生々しい歴史の証人たちの断片が並びます。前後する時間の流れと多くの登場人物たちの混沌とした中からも、圧倒されるほどのエネルギーが内に秘められていて、未来という時間が保証されている希望を感じさせられるんだから。凄い物語でした。
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by umekononikki | 2013-01-13 15:25 |