展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

終わりの感覚

f0149664_2340238.jpg終わりの感覚
ジュリアン・バーンズ 著
土屋 政雄 訳

穏やかな引退生活を送る男のもとに、見知らぬ弁護士から手紙が届く。日記と500ポンドをあなたに遺した女性がいると。記憶をたどるうち、その人が学生時代の恋人ベロニカの母親だったことを思い出す。託されたのは、高校時代の親友でケンブリッジ在学中に自殺したエイドリアンの日記。別れたあとベロニカは、彼の恋人となっていた。だがなぜ、その日記が母親のところに?―ウィットあふれる優美な文章。衝撃的エンディング。記憶と時間をめぐるサスペンスフルな中篇小説。2011年度ブッカー賞受賞作。

冒頭の青春時代の回想から衝撃のラストまで、一人の人物の記憶をたどるミステリアスな雰囲気が非常に好みでした。記憶のあいまいさが、物語の中では何かふに落ちないもどかしさとして感じられます。そのもどかしさからか、一気読みしてしまいました。(といっても、それほど長い物語ではないのですが。)そして衝撃のラスト。読後、しばらくは呆然としました。振り返れば冒頭の青春時代の回想が、本当に遠い遠い昔の出来事で、記憶という形のないものとしてしか存在していない悲しさを感じました。確かに記憶にはあるのです。しかしそれは脳という無限の世界の中に存在し、現実に目の前に存在するものではないのです。ああ、至極当然のことですが、それがなんとも言えない気分にさせられるのですから。(まったく「なんともいえない」なんて、なんともいえない表現ですね。すみません。)面白かったです。
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by umekononikki | 2013-02-01 23:41 |