展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

河岸忘日抄

f0149664_22214427.jpg河岸忘日抄
堀江敏幸著

ためらいつづけることの、何という贅沢──。ひとりの老人の世話で、異国のとある河岸に繋留された船に住むことになった「彼」は、古い家具とレコードが整然と並ぶリビングを珈琲の香りで満たしながら、本を読み、時折訪れる郵便配達夫と語らう。ゆるやかに流れる時間のなかで、日を忘れるために。動かぬ船内で言葉を紡ぎつつ、なおどこかへの移動を試みる傑作長編小説。

これは良かった。南仏で船上で生活しながら、緩やかな時を過ごす主人公の「彼」。そんな「彼」の時間を、共に共有し、心地よさに浸ってしまいました。異国の地にありながら、「彼」の周りには日本的な時間の流れがあるようで、その流れに引き寄せられるように様々な人が集まってきます。日本にいる枕木さんのFAXや郵便を待ちながら過ごす日々。これといった事件も無く、かといって私たちが送っている日常とは違う生活に、魅力を感じます。人に平等に流れる時が、こんなにも質や早さが違うものなのかと思わされました。楽しい時間は早く、苦しい時間は長いもの。そんな毎日も、振り返ればあっという間に過ぎ去ったように感じます。子供の頃は大人になる未来への時間はゆっくりでしたよね。
そんな変化する時間を捉えた物語でした。じっくり味わいながら読みました。
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by umekononikki | 2013-03-08 22:22 |