展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

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f0149664_9151030.jpgオーケストラ・アンサンブル金沢
大阪定期公演

2010年9月23日 15時開演
ザ・シンフォニー・ホール
(画像出処:ザ・シンフォニーホールHP)

メンデルスゾーン
弦楽のための交響曲 第10番 ロ短調

ラヴェル
ピアノ協奏曲 ト長調
独奏:菊池洋子

~ 休 憩 ~

武満徹
3つの映画音楽
 訓練と休憩の音楽~「ホゼ・トーレス」より
 葬送の音楽~「黒い雨」より
 ワルツ~「他人の顔」より

モーツアルト
交響曲 第39番 変ホ長調 K.543


ロビー演奏
ドヴルザーク
弦楽四重奏「アメリカ」より 第2楽章、第4楽章

第1部アンコール
グリュンエルト
オペレッタ「こうもり」によるパラフレーズ 作品56

第2部アンコール
モーツアルト
行進曲ニ長調 K.215

六甲おろし(!!!)
小雨の降る日でした。酷暑だった夏も終わり、いよいよ秋が来るのかと感じさせられるような気温。楽しみにしていた「オーケストラ・アンサンブル金沢」の定期公演。ホールのロビーでは「ミス百万石」お出迎えと金沢の観光PR。関係者なのか、スーツの男性一行が見受けられました。会場もほぼ満席です。「空いている席は、名古屋ドームへ、阪神の応援に行ったのでしょう。」とは、指揮者の井上氏の弁。もちろん、アンコール曲紹介の時におっしゃられました。

何故、私がこのコンサートを楽しみにしていたかというと、以前、井上道義さんの指揮で爆睡した経験があるからです。(本当に、申し訳ございません。)阪神淡路大震災後、数年にわたり行われた「復興支援コンサート」での事です。まだ若かった私にはクラシックという壁は非常に高く、全く無知で曲名すら解らない状態で、いかにもクラシックという曲を聴きました。拍車をかけるように、安価なチケット代が、心に油断を生んだのでしょう。そりゃ、これ以上ないというくらいの贅沢な眠りのひと時を味わうことになったのです。

そして今回の公演!選曲が面白く、楽しめました。
個人的には、ラヴェルのピアノ協奏曲ト長調が良かったかな。とりわけ第2楽章では、目の前に情景が見えるような、私と波長のあう演奏でした。理屈ではなく、曲に浸るとはこんな感覚なのかと思いました。
総体的には、淡白な指揮をする人だなぁという印象。アンサンブルだからなのかもしれませんが、良い意味での物足りなさが後を引くと言うか、和食の様な繊細で旨味の効いた感じでした。

などと、毎回書いているので今回はやめておこうかと思いましたが、落ち着かないので・・・。素人が感じたままを書いています。はい。

さてここから、いつもの様に少し調べてみました。ただ、今回のプログラムに載っていた解説が、とても簡潔で興味深い内容でしたので、ここでは少しだけ・・・。

今回は「ラヴェル」について。
ジョゼフ=モーリス・ラヴェル(1975~1937年)。フランス印象派を代表する作曲家。曲の精密さは「スイスの時計職人」と形容されたほどです。
彼は、フランス西南部、スペインに近いバスク地方で生まれ、すぐにパリに引っ越します。パリ音楽院では、ローマ大賞を取ろうとしますが落選。落選理由の不純さから抗議を表明し、音楽院院長辞任にまで追い込むとう事態となります。これは、「ラヴェル事件」と呼ばれています。そんなラヴェルは、不条理なことには涙し、弱者には援助を惜しまなかったとか。生涯独身で、非常におしゃれな人だったようです。
生まれつき脳に欠陥がありましたが、1932年タクシーで事故に遭い後遺症が残ります。手術をしても治る見込みが少ないながらも、作曲ができないよりかはと手術を受けます。しかし病状は悪化し、1937年に亡くなります。
有名な曲に「ボレロ」「亡き王女のためのパヴァーヌ」「水の戯れ」などがあります。


最後に。
アンコールでの「六甲おろし」。この曲が、こんなにも美しく感じるとは!
関西で育ち、野球のシーズン中はいたるところで耳にした「六甲おろし」。小学校時代の担任が熱烈な阪神ファンで、阪神が勝った翌日は、朝礼時に「六甲おろし」の合唱。(負けると漢字10問テスト。当時、PTAからクレームがつかなかったのが不思議!?)そんな「六甲おろし」が、涙が出るほど美しかった!素晴らしい!(でも、私はヤクルトファンです。頑張れヤクルト!)
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by umekononikki | 2010-09-29 09:16 | コンサート

ある素敵な日

f0149664_941331.jpgある素敵な日 2006年 16話

出演:コン・ユ、ソン・ユリ、ナムグン・ミン、イ・ヨニ

生き別れになった兄妹。兄はオーストラリアで、恋人の心臓手術のためのお金の工面に奔走。妹は韓国で死んだ娘の代わりとして、裕福な家の養女となっています。兄妹はあるきっかけで再会しますが・・・。

コン・ユが観たくてGyaoで観始めたのですが、ナムグン・ミンの方が魅力的。
生き別れた兄ゴヌがコン・ユ。妹ハヌルが、ソン・ユリ。ハヌルが働く水族館の責任者カン・ドンハがナムグン・ミン。カン・ドンハは、過去の恋から立ち直れないでいましたが、次第にハヌルに思いを寄せます。しかし、その意地悪なこと!このドラマの登場人物の中で、一番生き生きしていたように思います。ゴヌとハヌル兄妹の出生の秘密。ハヌルが引き取られた養父と実父との関係。韓国ドラマのお約束だらけで、内容は新鮮味に欠けます。
それでも、それぞれの謎が解き明かされていき、ついつい見てしまいます。
そしてやっぱり、ナムグン・ミン。コン・ユも素敵でしたよ。妹思いで。しかし、ナムグン・ミン扮するカン・ドンハは、愛すべき意地悪。でも、その意地悪の底には、ハヌルを思う気もちがくっついているので、観ているこちらはニヤニヤしてしまいます。でも、そこまで想いを寄せるハヌルにあまり魅力を感じなかったところが残念。あと、ドンハの、過去の恋から立ち直れない設定は必要だったのかと思います。総じて伏線が全く効果を発揮しないのよね~。本当に、残念。
ラストもこれと言って感動もなく、ナムグン・ミンが最後まで登場してくれたことに感謝しました。

しかし、韓国ドラマに多い「出生の秘密」。基本的に「孤児」という設定が多いので、韓国はそんなに孤児が多いのかと調べましたが、良い資料を探し当てることができず断念。ただ調べている途中「韓国は孤児輸出人数が世界第4位」だと言う記事を見ました。孤児の多い少ないではなく、国民性といいますか、社会的な問題を抱えていることが感じられます。その要因は様々な背景があるようです。近年、IT産業で経済成長が著しい国だけにショッキングですよね。

少しシリアスな話を書いてしまいましたが、最後にドラマの話でもうひと押し。
物語がどう展開しようとも、途中から、ドンハ&ハヌルコンビ、いやいや、ナムグン・ミンを観ているだけで幸せでした。調べてみると、以前に観た「バラ色の人生」に出演していたのね。チェ・ジンシルの妹に思いを寄せる漢方医。・・・。そういえば、そんな人いたなぁ。思い出せるってことは、何となくいい雰囲気の人だな位には感じていたのでしょうね。あの「アイリス」のキャストにも同名の俳優さんが載っていましたが、出演していたのでしょうか?役名がない役なので別人なのかなぁ?でも、珍しい名前だし・・・。なにはともあれ、今後は「要チェック」な俳優さんです♪
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by umekononikki | 2010-09-28 09:41 | 韓国ドラマ

スコルタの太陽

f0149664_10381491.jpgスコルタの太陽 ロラン・ゴデ著 新島進訳

南イタリア、灼熱の太陽のもと、呪われた宿命に抗って果敢に生きるスコルタ家5代にわたる波乱の物語。フランスでベストセラーとなったゴングール賞・ジャン・ジオノ賞審査員賞のW受賞作。

灼熱の太陽の下、癒えることのない喉の乾きを潤そうとするかのように、スコルタ家の人々は力強く生き抜きます。一瞬潤った喉も幻に感じるほど、瞬く間に満たされない生活に戻っていまいます。それでも生き抜く力強さ。

耕しても耕しても実らない畑の様に、大地はスコルタ家の人々から、無情にも潤いを奪い続けることが「宿命」ならば、それに抗うことも一族の「宿命」なのでしょうか。いっそのこと苦しみから逃れるために、破滅の道を選ぶこともできたでしょうに。苦しみに抗った分、一族の根っこは深く力強く張り巡らされ、多少の事では揺るがない盤石な大地ができたのでしょうか。

読後、自分のルーツを考えさせられました。私の先祖たちは、幸せな人たちばかりではなかったはず。スコルタ一族ほどではなくても、過酷な宿命を乗り越えた人々がいたかもしれません。そんなことに思いをはせると、今を生きる自分自身、過去の人たちに恥じないような生き方をしなくてはと感じました。
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by umekononikki | 2010-09-27 10:38 |

優雅なハリネズミ

f0149664_11393035.jpg優雅なハリネズミ ミュリエル・バルベリ著 河村真紀子訳

パリの高級アパルトマンに住む人々の群像をユニークに描き上げた物語。今世紀フランス最大のベストセラーを記録し、フランスの「本屋大賞」受賞作。

管理人らしくあるべく教養を隠している、高級アパルトマンの管理人ルネ。そこの住人で、非常に賢く日本文化に傾倒している12歳の少女パロマ。この2人の主人公が、交互に語っていく形式で物語は進行します。
そして、そのアパルトマンに引っ越してきた日本人紳士オヅ氏により、2人に変化が生まれます。

心を開ける相手とは、なかなか出会わないものです。管理人ルネは、「管理人」という殻をかぶった「ハリネズミ」。日本的にいうと「自分大好き人間」ってところかしら。自分を満足させるために、多くの本を読み、映画を観て教養を深めています。しかしその教養は、人との会話に役立てることもなく、ただ自分自身の満足のため。
高級アパルトマンの管理人で、周囲には裕福な暮らしぶりの人間ばかり。しかしいくらお金持ちでも、ルネの心を満足させてくれるような、教養のある人物はいません。そこに日本人紳士オヅ氏の登場です。
このオヅ氏。おおよそ日本人らしくないスマートな紳士です。

物質的な豊かさと精神的な豊かさは、イコールではなく、更に物質は幸せを与えてくれるものではなく、幸せに花を添えてくれるだけです。そんな状況を、ルネとパロマは心の中のつぶやきで皮肉ります。それも、非常に的確に。ペシミストっぽい2人の、なんとも明るいペシミストっぷり。「エスプリが効いてる」って感じがします。

ハリネズミの様なアパルトマン管理人ルネ。日本人紳士オヅ氏と出会い、少女の様に変身します。そのときめきが心地よく、いつまでも続いて欲しいと願っていたのに・・・・・。

「プレゼントしたくなるような本」というのが解る気がします。プレゼントした友人に、「私はあなたのオヅ氏?」と聴けるような、教養を身に付け、魅力的な人物になれるように努力せねば!
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by umekononikki | 2010-09-21 11:39 |

悲しみを聴く石

f0149664_944218.jpg悲しみを聴く石  アティーク・ラヒミー著 関口涼子訳

戦争から植物状態で帰ってきた夫とその妻の愛憎劇。原題の「サンゲ・サブール」とは、ペルシア語で「忍耐の石」。フランスに亡命したアフガニスタン出身の作家によるゴンクール受賞作。

舞台は、戦中のイスラム圏の何処か。不条理な扱いを受けてきた妻は、その不満を植物状態の夫に語ります。この妻だけでなく、世の中の不条理は、誰しも感じていることだと思います。こんなに努力しているのに、何故報われないのか。どうして自分だけこんな目に会うのか。小さな愚痴に至るまで、ぶちまけたいことは誰にでもありますよね。そのフラストレーションを、ある人はお酒で解消したり、買い物で解消したりします。
妻の置かれた状況は、私たちの様に気軽に発散できません。まさに、耐えに耐えてきた「忍耐」の一言だったのでしょう。
妻の告白は、目覚めない夫への失望感でしたが、徐々にその内容や行為はエスカレートしていきます。先の見えない下り坂を、徐々に加速しながら転がり落ちていく狂った快感があります。

物語の背景には、様々なメッセージがあります。しかし、密室で行われる夫婦のやりとりは、緊張感と圧迫感で、息もつかせずラストまで読まされてしまいます。エンターテイメントとしても、最高の1冊でした。
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by umekononikki | 2010-09-17 09:44 |

エデンの東

f0149664_10443399.jpgエデンの東 2008年 56話

出演:ソン・スンホン、ヨン・ジョンフン、イ・ダヘ、ハン・ジヘ、パク・ヘジン、イ・ヨニ

イ・ドンチョル(ソン・スンホン)とイ・ドンウク(ヨン・ジョンフン)の鉱夫の父が、石炭鉱業所所長シン・テファン(チョ・ミンギ)により死に追いやられ、兄弟は復讐を誓います。1960年代から現代までの激動の時代背景を描いたドラマ。

出生の秘密あり、兄は少年院に入れられ、弟は市民運動に加わり公安にマークされるわと波乱万丈過ぎる人生。宿敵も、都合が悪くなれば相手を交通事故に見せかけ脅す又は殺すと、本当になんでもありの突っ込みどころ満載の物語。しかしそんな突っ込みもなんのその、物語の展開が早く突っ込んでいる余裕すら与えません。充実した内容です♪
イ・ドンチョルに扮するソン・スンホンはかっこいいのですが、暴力シーンが多く、常に傷だらけでボロボロ・・・。う~ん、男前な顔が勿体無い。
ドンウクの復讐相手の息子シン・ミョンフン(パク・ヘジン)と結婚するジヒョン(ハン・ジヘ)も、「ランラン18歳」のころから成長したよなぁ。イ・ダヘもしかり、マイ・ガールのぶっ飛んだ衣装とキャラクターからは想像できない位の成長ぶり。どちらの女優さんも、共にはじけた役の印象だっただけに、このドラマでは大人の女性を見事に演じていました。素晴らしい。ドンウクのヨン・ジョンフンは、やっぱりどんな境遇でもおぼっちゃまな感じ。やっぱり育ちが良いのは隠せないのかしら。そして問題のクク・ヨンナン役のイ・ヨニですが、私が思うに「ヨンナン」という形容しがたい役の設定に問題があったように思います。ドンチョルが好きになるような魅力が、この役には感じられないのよねぇ。この役の設定を、もう少し考えて欲しかったなぁ。例えば、登場する女性は誰もが強いので、可憐でおとなしいお嬢様とかね。逆のキャラクターだと、もう少し引き立ったと思うのですが。

物語は、先述の通り波瀾万丈すぎますが、長い物語の割に息もつかせぬ展開で、よくもまぁ次から次へと物語は転がっていきます。時代は1960年代から始まり、物語の中心は80年代「ソウル五輪」が開催された前後の、韓国経済が大きく発展したころでしょうか。古き時代の悪習慣と、新しい時代の新しい常識がぶつかりあう様な混乱が感じられました。上手く出来てるよなぁ。
日本では「レトロ」なドラマが受ける中、韓国でもちょっと昔位のレトロ感がいいのかなぁ。多額の製作費が投じられただけに、衣装から家具、車、建物に至るまで素晴らしく時代を表して見ごたえがあります。

私の注目は、シン・テファンの息子シン・ミョンフン。前半は、ジヒョンと無理やり結婚するまで、「悪い奴だなぁ。」と見ておりました。しかし、父の卑劣極まりないやり方に疑問を感じるものの、己の道を貫き通せない迷いがオバサン心をくすぐります。妻ジヒョンの方がしたたかで強い。
更に、自身の出生の秘密を知りショックを受ける辺りから、私には彼しか見えていなかったわ。そしてここからが、物語の醍醐味。全てが動き出し、結末へと魅せてくれます。そして、この辺りから「ドロドロ」の愛憎劇っぽくなるのも韓国ドラマらしいところ。
そしてラスト、ドンチョルが父に教えられた言葉が、この物語に感動を与えます。
暴力的なシーンが多い事が目につきますが、物語自体は上手く出来ていて、高視聴率だったことも納得のドラマでした。面白かったです♪
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by umekononikki | 2010-09-16 10:45 | 韓国ドラマ

エデン

f0149664_1731375.jpgエデン 近藤史恵著

「サクリファイス」の続編。舞台をツール・ド・フランスに移し、ミステリー色は薄らいだものの、スポーツ物としても十分読み応えがあります。

やはり「白石誓」。いいわぁ♪
どんなスポーツ界でも、スター選手は一握りにすぎません。主人公・白石誓、通称チカは、ロードレースの選手として、長所短所を含む自身の実力を知っています。信念があり周りに左右されず、チーム内での役割も臨機応変に対応できる、そういった、選手としてのスタンスがいいんですよ。前作以上に、彼の魅力が増したような気がします。やはり、選手としても成長したのよね。

もう感想は、私個人の偏見だらけの内容になっています。はい。

舞台はフランス。それだけで気分も高揚、チカを応援したくなります。だって、ツール・ド・フランスに出場する日本人って稀なんですもの。(と、作品中にありました。)もう、ミステリーでも、そうじゃなくても、どうでもいいのです。とにかくチカを応援せねば!!!
もちろんチカ以外にも、魅力的な選手がいます。チカがアシストするミッコ。対するフランス人選手ニコラ。各人が悩み、自分の信じる道を疾走します。まさに紳士のスポーツですね。

そしてあのラストじゃ、続きの物語も想定内なのかしら?楽しみです♪♪♪
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by umekononikki | 2010-09-15 17:03 |

アウステルリッツ

f0149664_1351115.jpgアウステルリッツ W・G・ゼーバルト著 鈴木仁子訳


建築史家アウステルリッツの封印された過去を、独特の世界観で綴ります。全米批評家協会賞受賞作品です。

その独特の世界観。この感覚は、読んでみないと解りません。
挿入された多くの写真が、ノスタルジックで、色あせて欲しくないのに抗えない過去の情景を感じさせます。

懐かしい過去と同時に忘れたい過去、忘れたくないのに当時の新鮮さを記憶という障害により色あせていく過去、思い出したくても欠片すら出てこない過去があります。仕事をしている時、電車に乗っている時、何の前触れもなく突然思い出す過去の情景。そんな不安定な、デジャブーの様な経験を具象化したような物語です。

アウステルリッツは、自身の生い立ちを知りません。誰から生まれ、どうしてここで育ったのか。精神を病むような類の不安ではなく、脚がしびれて地に足がついていないような不安が感じられます。現在と過去は1本の線で綱がり、それをたどれば行きつくはずの過去。現在の自分を支えている、「過去の記憶」は砂上の楼閣で、蜃気楼の様なもので、実態があって実態のないものという不安定な感情。文書も段落がなく、取りとめもなく展開するので、それを具象化しているようでした。ちょっと気を抜くと、何があったのか解らなくなってしまいます。まぁ、そこは私の読解力が乏しいだけなのですけどね、はい・・・。
アウステルリッツの語る物語の聴き手である「私」を通すことで、アウステルリッツが語る過去の実態の薄さとリアリティーを絶妙なバランスに配合させているように思いました。

架空や事実とは違う、それらの中間にある世界を彷徨う不思議な世界観・・・、いえ、やはり読んだ人にしかわからないこの感覚はどれだけ言葉を尽くしても無駄の様ですので、今回はこの辺で・・・。
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by umekononikki | 2010-09-14 13:51 |

素数たちの孤独

f0149664_13263628.jpg素数たちの孤独 パオロ・ジョルダーノ著 飯田亮介訳

イタリアのストレガーノ賞受賞し、120万部のベストセラーとなった作品。
数学の才能を持つ少年マッティアと、事故で片足が不自由になった少女アリーチェの恋物語。

世界の人口が約69億人。すなわち69億もの個人が存在するということですよね。個人の数だけ孤独が存在します。個人は個人で、他の人にはなりえないのですから。その「孤独」をどう感じるかも、個々で違ってきます。この物語の主人公マッティアとアリーチェは、互いに抱えている孤独を相手に見出し魅かれていきます。

マッティアは過去の事件、アリーチェは事故で不自由になった脚、それらが原因で殻に閉じこもってしまいます。周囲の人達を本意でないにしても傷つける、ある意味エゴイストと取られかねない「孤独」が、何故こんなに煌めいて見えるのだろうと、不思議な気分を味わいました。2人の両親や友達たちも、それぞれの「孤独」を抱えており、色々な「孤独」がちりばめられています。

個人は個人で、他の人にはなりえない孤独。この地球上に存在する個人という点が、宇宙の中でも唯一だと煌めいているようです。
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by umekononikki | 2010-09-08 13:26 |
f0149664_9362527.jpg京都 細見美術館 琳派 若冲と雅の世界
大丸ミュージアムKOBE(神戸大丸店9階)

神戸市立博物館で、清長・歌麿・写楽の浮世絵を観た後、China Modern Liang You (チャイナモダン 良友)で満足のランチを頂き大丸神戸店へ。

この日のメインは、ボストン美術館の浮世絵でもなく、良友のランチでもなく、この若冲だったのです。実は。
「伊藤若冲」の他に、「俵屋宗達」「酒井抱一」「鈴木其一」「尾形光琳」とさりげなく豪華な内容。

しかし、神戸市立博物館の静けさに比べ、ここはなんて騒がしいのか・・・。百貨店の美術館ってこんなものなのでしょうか。チケットが安いから?平日で関西のオバチャンが多いから?会場が狭くて混雑はしていましたが、それにしてもうるさすぎです。まぁ、私の行ったタイミングが悪かったのでしょう・・・。

内容です。
まず、若冲。「鶏図押絵貼屏風」も良かったのですが、個人的には「菊花図押絵貼屏風」の菊の花と空白の絶妙なバランスが生みだす空間が、いつまでも眺めていたい気分にさせられました。
本阿弥光悦書・俵屋宗達下絵の「忍草下絵和歌巻断簡」。以前に観た「鹿下絵新古今集和歌巻断簡」の様に、巻物を和歌の部分だけ切り取ったのでしょうね。勿体ない話ですが、この切り取られたものでも、十分作品になるところが凄いところですね。本阿弥光悦と俵屋宗達のコンビ、嵯峨本を思い出し2人の名前を見ただけでテンションが上がります。
鈴木其一は、相変わらずの安定感で安心して観ていられます。「水辺家鴨図屏風」「春秋草木図屏風」、大胆かつ繊細な画面はリズムを生み楽しい気分になります。

京都細見美術館所蔵の作品を紹介した展覧会ですが、細見美術館へ行ってもこれら全てにお目にかかれる訳ではないことを思うと非常に充実した内容だったと思います。しかも、前売り券は大人¥600という安さ。財布にやさしく楽しめた展覧会でした。
でも出切れば何処か大きな美術館で、細見美術館所蔵品一挙公開的な展覧会をやってくれないかしら。
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by umekononikki | 2010-09-07 09:37 | 展覧会