展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

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エドウィン・マルハウス

f0149664_11191648.jpgエドウィン・マルハウス
あるアメリカ作家の生と死
スティーヴン・ミルハウザー著
岸本佐知子訳

11歳で世を去った天才作家の伝記。しかも書いたのは、同い年の親友という意表を突く設定。そこに描かれている濃密な子供の世界に圧倒される。
11歳の生涯。濃密な子供の世界。そこは独特の世界観で包まれていて、これまで味わったことのない子供の世界でした。子供は純粋で残酷とはよく言われますが、エドウィン、ジェフリー共に存分に発揮しています。そして周囲の大人たちが人形のように感じられる位、どの子供たちも濃く生きています。
この物語の魅力は何と言っても、ジェフリーという子供によって造られた世界であることだと感じました。エドウィンという親友の伝記なんて物を、同い年のジェフリー視点で緻密に描かれているという二重に展開する子供ワールドが、濃密さに拍車をかけているようです。
子供による、子供ならではのこの世界に、大人の私はすっかり溺れてしまいました。素晴らしい物語でした。
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by umekononikki | 2011-02-28 11:19 |

バウドリーノ

f0149664_90521.jpgバウドリーノ
ウンベルト・エーコ著
堤康徳訳

時は十字軍の時代。神聖ローマ帝国皇帝フリードリヒの養子となった農民の子バウドリーノが語り出す数奇な生涯。
この時ばかり、住んでいる場所が田舎であることを感謝したことはありません。図書館で予約をしなくても、借りることができました。都会生活の友人はまだ借りることができていないようで、少しの優越感を覚えます。
さて、物語。主人公バウドリーノは、皇帝に気に入られ養子となります。語学の天才でありながら、大法螺吹き。実在の歴史家ニケタスに自身の半生を語り出すところから物語は始まります。
バウドリーノの奇想天外な人生は、読みだしたら止まりません。法螺を吹くのですが、それが次々と実現していきます。中世のヨーロッパを舞台に、現実や事実の裏側は所詮こんなもの的な面を、笑える皮肉で描いているようです。荒唐無稽なのですが、あながち全くの物語ではないところが面白かったです。連想されたのは、日本の国会。日々の生活に苦しむ国民がいる中で、日本という国を動かす国会議員たちの答弁や態度は、この物語に登場する支配者や聖職者たちと重なって見えます。
上巻は成長途上のバウドリーノ、下巻に入り怒涛の様にファンタジックに大きく展開します。法螺吹きながらも、どのような状況でも真っ直ぐに進み、ついつい物語に引き込まれてしまいます。ただ、ヨーロッパの歴史やキリスト教の文化に疎いので、この物語の面白さを読み落としているのだろうと思うと悔やまれます。
そして法螺吹きバウドリーノの物語が、こんな結末を迎えるとは思いませんでした。愛すべきバウドリーノともお別れかと思うと、読み終わってしまうのが勿体ないやら寂しいやら。本当に楽しめました。
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by umekononikki | 2011-02-25 09:00 |
f0149664_9153676.jpg躍動する昭和
木村伊兵衛展
何必館
京都現代美術館

美しい。なんとも日本人離れしたような、美しい日本人が写し出されています。ご年配の方々が観ると、非常に懐かしい昭和の写真です。日本の風景なのですが、どこか西洋を思わせる軽快さ。少女のおかっぱ頭や、モンペ姿が、モダンに見えるんだから素敵です。数々の著名人のポートレートから、秋田の風景、戦後の日本など60点が展示されていたようですが、もっと観たいという欲求にかられます。写真集、ちょっとAmazonで検索してみようかしら。
木村伊兵衛について調べてみると、1901年東京に生まれ、1974年に72歳で死去。翌年の1975年、新人写真家を対象とした「木村伊兵衛賞」(朝日新聞社主催)が創設されます。土門拳とはリアリズム写真で双璧をなし、スナップ写真の名手、アンリ・カルティエ=ブレッソンになぞらえ「和製ブレッソン」とも言われたそうです。
私が、写真も良いなぁと感じるきっかけとなったブレッソン。木村伊兵衛はその対象が「日本」なだけに、ブレッソン以上の親近感や愛着を感じます。

この「何必館」、四条通りの有名な「ようじや」の隣にあります。大通りに面しているにも拘らず、美術館に入れば異空間に入ったかのような静けさ。エレベーターで登ったり降りたりと忙しい美術館でしたが、駅からのアクセスの良さを考えれば仕方が無いのかもしれません。雰囲気のある美術館でした。
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by umekononikki | 2011-02-24 09:15 | 展覧会
f0149664_9333368.jpg麗しき日本の美
前期:若冲と江戸絵画の世界

特集展示 茶の湯とかざり
細見美術館

2月18日(金)、天気は日が差しているのに時雨れるうえに、京都なだけに底冷えがする日でした。
この展覧会、前期と後期に分かれおり、この日は前期「若冲と江戸絵画」でした。決して大きくは無いこの美術館で展示数も限られていますが、少数精鋭とばかりに、どの展示品も素晴らしい。
展覧会はまず若冲からは始まります。印象的だったのが「鼠婚礼図」。「郡鶏図」のような、繊細かつ濃密な空間が印象的な若冲でしたが、写実とコミカルさを折衷したこの絵は、画面のほとんどが空白でそのバランスが面白かったです。他に、北斎の肉筆画「五美人図」。「お見事!」と、絵の前で呟きたくなるような構図。個人的には、この1枚のために、京都まで足を運んだと言っても過言ではない位です。
それにしても江戸時代って、どうしてこんなに多くの素晴らしい作品が生まれたのでしょう!どれだけ観ても、尽きることの無い名画の数々。後期「琳派を愉しむ」も期待しています。

と、夢中に観ているとお昼はとっくに過ぎて、お腹が空いていることに気付きました。この後、四条の現代美術館で「木村伊兵衛展」を観る前に腹ごしらえだなぁと考えながら、細見美術館を後にしました。
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by umekononikki | 2011-02-23 09:33 | 展覧会
f0149664_921135.jpgラン・ラン ピアノリサイタル
兵庫県立芸術文化センター
KOBELCO大ホール
14:00開演


J.S.バッハ:パルティータ第1番 変ロ長調 BWV825
シューベルト:ピアノ・ソナタ第21番 変ロ長調 D.960(遺作)
~休憩~
ショパン:12の練習力 op.25
     第1番 変イ長調「エオリアン・ハーブ」
     第2番 ヘ短調
     第3番 ヘ長調
     第4番 イ短調
     第5番 ホ短調
     第6番 嬰ト短調
     第7番 嬰ハ短調
     第8番 変ニ長調
     第9番 変ト長調「蝶々」
     第10番 ロ短調
     第11番 イ短調「木枯らし」
     第12番 ハ短調「大洋」

アンコール
ラフマニノフ:前奏曲op.23-4
ショパン:黒鍵のエチュード

「一度聴くと虜になる」という言葉が、大げさではない事がよく解りました。魅力あふれる公演でした。女性がほとんどかと思いきや、男性のお客さんも多く、彼の魅力の幅広さに驚かされました。案の定、公演後のサイン会には長蛇の列!もちろんチケットは完売だったようです。公演後、最前列の女性から貰った花束を、この日活躍したピアノにも渡してあげるラン・ラン。その人柄も、多くの人から愛される要因の一つなのでしょうね。
難しいことは分かりませんが、完璧なテクニックに裏打ちされた、生き生きとした演奏が魅力なのだろうなと感じます。「愛さずにはいられない。」なんて、映画かドラマのキャッチフレーズの様な言葉が浮かびます。素晴らしい演奏に満足しました。

そんな訳で、今回は「ラン・ラン」、その人について調べてみました。(今更ですね・・・。)
1982年に中国のシャンェンに生まれます。(現在28歳なのね。)3歳からピアノを学び始め、13歳で、第2回チャイコフスキー国際青少年音楽家コンクールで第1位となります。2008年北京オリンピックの開会式で演奏した姿は記憶に新しいですよね。得意とするレパートリーは、チャイコフスキー、ショパン、ラフマニノフがあり、アンコールに中国民謡を好んで弾いているようです。そして、多くの有名オーケストラや指揮者とも共演していますね。

それにしても、若くしてこの魅力と実績。今後の活躍が、楽しみでならないですね♪
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by umekononikki | 2011-02-22 09:02 | コンサート

美しい夏

f0149664_92644.jpg美しい夏
パヴェーゼ著
河島英昭訳

ファシズム政権下のイタリア。16歳のジーニアと19歳のアメーリアの、孤独な青春を描いた、イタリアの文学賞ストレーガ賞受賞作。
ジーニアが感じたように、冒頭のあんなにも美しかった夏はもう巡ってこないと感じます。物語の後半、ファシズム政権化という背景に導かれるように、物語の暗く重い部分が見えてくる辺りからの退廃的な雰囲気が良かったです。少女から大人へと成長するのに、埋めようの無い空虚な感じは増すばかり。時代背景と少女の成長を、上手く調和させた物語だと思いました。
また解説が興味深い内容で、この物語の面白さが増しました。解説の内容を踏まえたうえで、再読したいですね。
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by umekononikki | 2011-02-21 09:26 |

ちょんまげプリン

f0149664_8581539.jpgちょんまげプリン
荒木源著

映画にもなったようですね。先日DVDも発売になりました。以前から本屋で見かけて、気にはなっていたんです。プリンは大好きだし、イケメンも好き♪買って読むほどではないにしても、図書館にあるなら読んでみたいと思っていました。さすがに人気の様で、いつも貸出中だったのが、やっと私の手元にやってきました。

シングルマザー遊佐ひろ子が、180年前の江戸からやってきた侍・木島安兵衛を助けることに。安兵衛はお礼に家事をする一方、彼の作ったお菓子が評判となります。
なんてすごい設定と思いつつも、これが単純だけれども奥深い内容。働くことや家族のことと、考えさせられるんだから侍って凄い。現実はこんな素敵な事件は起こらないのですが、同じことが繰り返される日常が悪循環に陥った時、立ち止まることも大切なんだよと教えられたようです。どうすることがベストなのか。今の私に何ができるのか。もちろん努力は怠らないで。安兵衛さんの様に背筋を伸ばしてシャキッと生きることも大切ですが、辛くなった時には甘いお菓子でも食べてリフレッシュしましょう。
だ~か~ら~、感化されやすい私はお菓子が食べたくなるんだってば。ああ、週末ケーキを買いに行ってしまいそう。理想は、安兵衛さんの様に、上手にお菓子が作れることなんだけどね。
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by umekononikki | 2011-02-17 08:58 |

レクイエム

f0149664_10475529.jpgレクイエム
アントニオ・タブッキ著
鈴木昭裕訳

ひとりの男がリスボンの街を彷徨いながら、死者と語り合う幻想の世界。
こんな風に、死者と語り合う事が出来れば素敵だと感じます。私にはこれまで大切な人を見送った経験が無いのですが、会った事の無い祖父母はどんな人だったのだろうと想像することがあります。災害により写真は失い、容姿でさえ想像するしかありません。ある日ひょっこり夢の中にでも出てきて、何か話せたらなんて思うこともありました。この物語は、そんな夢を具象化したようです。
7月の灼熱の昼下がり。その暑さに目がくらみそうな中、死者と出会い語り合います。幻想と現実の狭間で、死者とかわされる会話も様々。意味のあるような無いような出来事。ラコステのポロシャツのニセモノとホンモノなんてことまで、何かを暗示しているように思えてしまいます。(私もラコステのポロシャツを持っているし、一応本物だしってことで印象的に残ったシーン。)死者と語り合う割に、どこかユーモラスで不思議な世界観は心地よい物があります。しかし心地よさに身を任せていると、気が付いたら死者の世界に連れていかれそうですね。
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by umekononikki | 2011-02-16 10:48 |

アートアクアリウム展

f0149664_9141759.jpgアートアクアリウム展
大丸ミュージアムKOBE

2月12日(土)、寒さ厳しい中、元町へ。前日は雪で、この日は晴れているのに雨という変なお天気。この展覧会14日(月)までとあって、寒くても行かなくちゃ終わってしまうと思い腰を上げました。

「金魚の展覧会」。チラシの写真を見ながら、なんだか変わった感じの内容だし、案外空いていたりしてなんて甘い予想をしながら電車に揺られていました。これが、日程的に終了間近の土曜日とあって、なかなかの混雑。しかも子供が多かったです。
金魚は江戸時代より、観賞魚として親しまれてきました。金魚だけでも十分芸術的なのに、その見せ方までも趣向をこらしたとあっては、楽しくないはずがありません。中でもチラシにある、薄暗い中に幻想的に浮かぶ巨大な金魚鉢は圧巻でした。その中には沢山の優雅な金魚が泳いでいるなんて、まるでファンタジーの世界。照明も、赤や黄色などの様々な色に変わります。その巨大金魚鉢を取り囲むように、これまた珍しい金魚達の小さな水槽が並びます。金魚の種類の多さと美しさにため息が出るばかり。
しかし、これだけ照明の色が変わって金魚達はストレスに感じないのだろうかと、下世話なことを考えつつも、この魅惑の世界を堪能してきました。子供から大人まで楽しめる展覧会でした。寒い中足を運んで良かったです。
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by umekononikki | 2011-02-15 09:14 | 展覧会

母の家で過ごした三日間

f0149664_111239100.jpg母の家で過ごした三日間
フランソワ・ヴェイエルガンス著
渋谷豊訳

<書けない作家>のヴェイエルガンスが<書けない作家>ヴェイエルグラッフを生み、そのヴェイエルグラッフの頭の中から、またしても<書けない作家>グラッフェンベルグが出現すマトリョーショカ小説とは上手く言ったもの。とにかく、書けないのだから仕方が無い。このような状態を一般に「スランプ」というのでしょうが、この作家の場合、そんな簡単な一言で片付けられないし、片付けたくありません。
家族の話、女性遍歴、火山に大蛇と話は脱線しながらも、ついつい先を読まされてしまいますが、確かに作品として形になるレベルではないところがいい。中途半端でバカバカしい内容を、必ず面白い作品になるような自信たっぷりに語っちゃう。書けない言い訳は取りとめもなく、どうしようもない有様で、あきれ過ぎて笑っちゃうくらい。とにかく書けないんだから!
前金には手を付け、成果が出せず最愛のママンにも会いに行けない。女性にはだらしが無い。それなのに憎めない魅力は、やはり作家である事なんだろうね。でも書けないんだけど。どうしても書けないんだけどね。それでも、愛すべき作家。書けないのに作家!?ほんと笑っちゃう♪♪♪
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by umekononikki | 2011-02-14 11:12 |