展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

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半分のぼった黄色い太陽

f0149664_101257.jpg半分のぼった黄色い太陽
チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著
くぼたのぞみ訳

私たちが死んだとき世界は沈黙していた。数百万人の犠牲者が出たといわれるナイジェリアのビアフラ戦争。この内戦の悲劇を、スリリングなラブストーリーを軸に、心ゆさぶられる人間ドラマとして描きだす。英語圏でいま最も注目されているナイジェリア作家の長編初邦訳。史上最年少でのオレンジ賞受賞作。映画化。

映画化されるということで、乗り遅れるなとばかりに借りてみました。
60年代のナイジェリアを、価値観の異なる3人の視点から見た物語。日本からは遠い国、ナイジェリア。ニュースでしか耳にすることの無い世界が、悲惨な内戦が背景にありながらも、素晴らしく生き生きと描かれています。あくまで人間ドラマです。一つの国家が抱える混沌の世界で、生まれも育ちも違う登場人物たちが、いかに感じ、いかに行動したか。恋人への愛、家族への思い、生まれ育った大地への愛情、思想、信念など、見つめる先は違うのに、その純粋さという点では共通しているように思いました。だからでしょうか、内戦という悲惨な状況が、登場人物たちをよりも瑞々しく引き立てていたように感じます。そしてどのような結末を迎えるのか、興味深く最後まで惹きつけられる魅力ある物語でした。
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by umekononikki | 2011-06-29 10:01 |

慈しみの女神たち

f0149664_13113464.jpg慈しみの女神たち
ジョナサン・リテル著
菅野昭正、星埜守之、篠田勝英、有田英也訳

最近ブログの更新が滞ったのは、この本を読むのに手こずったからです。やっと読了です。

わたしはナチスの殺人者、しかし人間である。筆舌に尽くし難い、恐るべき歴史はいかにして起こったか――若干38歳の著者が、驚異的な知識と想像力で挑む。小説の域を超えたリアルさで世界的絶賛を浴びた、ナチ親衛隊将校の物語。2006年ゴンクール賞・アカデミー・フランセーズ文学大賞W受賞。

でかい、しかも分厚いうえに上下巻。表紙がエゴン・シーレ。かなりの読み応え!読みやすかったのですが、あまりの長さに途中何度となく挫折しそうになりました。
ナチ将校のアウエの視点からの戦争を、ドキュメンタリー映像を観ているかのように淡々と語られていきます。ユダヤ人の大量虐殺、スターリングラードの悲惨な戦場。残虐な行為が次々と描きだされるので眉をひそめながら読むのですが、どこか白黒映像を観ているような淡白さが、読む者の心情の助けになります。(これがカラー映像なら、登場する将校たちの様に、私も発狂していたでしょう!)また、戦争の悲惨な面ばかりでなく、戦争を指図する側の愚かさに、命を落としていく人々の無念を思うばかりです。何より、主人公アウエの視点が新鮮。人間的にも優れている訳でもなく、かといって愚かな人間でもない。微妙なポイントを突いた、興味深い人物設定の様に思いました。それにしても、このボリュームにこの精緻な内容。将校同士の会話が、当時の世相や常識を反映していて、まるでこの時代に行って見てきたかのよう。素晴らしかったです。
主人公アウエの、衝撃的な告白から始まった長い長い物語。戦争が終盤になり混沌の中で、アウエはどうなるのかと思うのかと、終盤は頁をめくる手が止まりませんでした。最後まで読んで良かった♪お疲れ様でした。
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by umekononikki | 2011-06-23 13:11 |

なつかしの庭

f0149664_1032138.jpgなつかしの庭
2007年

監督:イム・サンス
出演:ヨム・ジョンア(ハン・ユニ)、チ・ジニ(オ・ヒョヌ)、キム・ユリ(チェ・ミギョン)、ユン・ヒソク(チュ・ヨンジャク)他

1980年の民主化デモ「光州事件」を背景にしたファン・ソギョンの同名小説を映画化。
軍事独裁政権に抵抗し、若き日々を獄中で過ごしたヒョヌ(チ・ジニ)は、17年の刑務所生活を終え出所する。17年前、警察から逃れ、逃亡生活を送っていたヒョヌは協力者としてユンヒ(ヨム・ジョンア)を紹介される。2人はすぐに愛し合うようになり、潜伏場所のカルムェで現実とは別世界のような幸福な生活を送る。しかし半年が過ぎた頃、ソウルで仲間が一網打尽にあった連絡を受けたヒョヌは、カルムェを離れる決意をする。

大人の恋愛物語というには、物語の背景があまりにも衝撃的。民主化を求める運動の中、軍部により多くの人々が犠牲となります。愛する人と別れ、獄中にありながらも、生き延びた事に感謝するチ・ジニ扮するヒョヌが、非常に静かで見事に演じ切っています。ヨム。ジョンア扮するユンヒも様々な物を失いますが、あくまで平静を装い生き抜く精神の葛藤の演技は、素晴らしいの一言に尽きます。若い二人が結ばれる「愛」は、離ればなれになっても育まれ、あたかも二人で共に歩んできたかの様な「愛」に昇華するのですから!あまりにも切ない人生を送った二人にも、ラストのシーンは心温まる物があり救われた気持にさせてくれます。こんなにも難しい物語を、よくぞ完璧なものに仕上げたなと、思わずうなりたくなる映画でした。
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by umekononikki | 2011-06-20 10:03 | 韓国映画

ブーベ氏の埋葬

f0149664_11174933.jpgブーベ氏の埋葬
ジョルジュ・シムノン著
長島良三訳

第二次大戦直後のパリ、8月のある朝、セーヌの河岸通りの古本屋の店頭でブーベ氏が急死する。身寄もいないと言われていた彼の写真が新聞に出ると、複数の人が関係者だと言って現れる。

ブーベ氏が何者なのか。そんな興味と共に、どんな人生を送ってきたのかと、先を読まずにはいられない衝動にかられます。そして何故そんな生き方を選択したのか考えつつ、余韻に浸りました。波乱万丈の人生というより、何かから逃れようとする姿が感じられます。消し去りたい過去や、逃れたい現実がありますが、どちらかと言うと変身願望に近い、自分自身から逃れたかったのかもしれません。しかしブーベ氏はすでに亡くなっているのです。その疑問に、本人は答えてはくれません。周囲の人々の知るブーベ氏の断片から、様々な憶測をするしか術は無いのです。得られる事の無い答えとは知りつつも、その答えを知りたい欲求にさいなまれるブーベ氏の心の内に魅了されました。
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by umekononikki | 2011-06-17 11:17 |
f0149664_918202.jpgダニエル・ハーディング指揮
マーラー・チェンバー・オーケストラ
ブラームス・チクルスⅠ&Ⅱ

ザ・シンフォニーホール
2011年6月11日、12日 15:00開演

何をトチ狂ったかクラシック初心者の私が、2日共チケットをとってしまいました。今、何かと話題の指揮者で期待も高まります。

11日<ブラームス・チクルスⅠ>
ブラームス:交響曲 第3番
ブラームス:交響曲 第1番
アンコール
ブラームス:交響曲 第2番 第3楽章
12日<ブラームス・チクルスⅡ>
ブラームス:交響曲 第2番
ブラームス:交響曲 第4番
アンコール
ブラームス:交響曲 第3番 第3楽章

さて、まずはいつものように調べてみましたということで、「チクルス」について。(すみません。ここから始めないといけないほどのレベルです。)
Weblio辞書によると、ドイツ語の「Zyklus(ツィクルス)」。
(1)連続演奏。ある作曲家の作品を何回かの音楽界で連続して演奏するなど、特定の目的・意図をもって行う連続演奏会。「ベートーベン-―」
(2)一連の関連した歌曲集。

なるほど。

そして以前にも少し調べたヨハネス・ブラームス(1833年-1897年)ですが、今回演奏された交響曲がいつ作曲されたかについて。
ドイツの作曲家、ピアニスト、指揮者で、バッハ、ベートーベンと共にドイツ音楽における「3大B」と称されるとは、以前にも書きました。作風はおおむねロマン派音楽の範疇に属するが、古典主義的な形式美を尊重する傾向も強い。・・・などと、Wikiから引用していますが、古典主義といわれてもあまりピンときていないのが正直なところ。
ドイツ・ハンブルグに生まれ、ウィーンで死去。
1862年からドイツからウィーンに住まいを移し作曲に集中。1876年に19年の歳月をかけて書き上げられたのが、今回の交響曲 第1番。ついで間をおかず第2番、第3番、1885年に第4番が発表されました。

それで私の傍に座っていたおじさま方が「やっぱり1番がいいだろう。」と言っていましたが、19年の歳月をかけた作品だったのですね。
さてコンサートですが、両日ともにお客の入りは少なく感じました。しかし演奏は最高でした。ハーディング氏もオーケストラも30歳代と若いメンバーで、息のあった演奏にスポーツのチームのような一体感がありました。完成された完璧さではなく、これから将来にかけての可能性の余白のある勢いが心地よかったです。そして1~4番の中で素人の私が選ぶのも僭越ですが、第2番が最も良かった(好みだった)ように思います。頑張って2日共チケットを取って良かった♪アンコールが終わり、会場に電気がついても鳴りやまない拍手。非常に満足したコンサートでした。
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by umekononikki | 2011-06-16 09:17 | コンサート
f0149664_9131867.jpg浅川巧(たくみ)生誕120年記念
浅川伯教(のりたか)・巧(たくみ)兄弟の心と眼
-朝鮮時代の美-

大阪市立東洋陶磁美術館

2011年6月10日、阪急・梅田駅からブラブラと、蒸し暑い中、中ノ島まで歩きました。途中、着ていた上着を脱いで半袖に。いつもは寒く感じる美術館の冷房が、気持ち良かったです。

さて、朝鮮陶磁。朝鮮といえば、近年の韓流ブームでドラマが放送され、歴史物でも豪華な色使いが印象的です。しかし、今回の展覧会では、非常につつましく、ユニークな意匠で、これまでの印象が一変しました。そして、非常におおらかに感じました。完璧でも、繊細でもないのに、引き付けられる魅力があります。心を鷲掴みにされるような力強さは無いのですが、ずっとそばにいて欲しいような、いないと寂しく感じる様な手放し難い存在です。日本にも中国にもない、独特の感覚が新鮮です。
先日、NHK「日曜美術館」でも紹介されていた物も展示されており、テレビでのコメントを思い出しながら拝見することができ面白かったです。またテレビの画面で観るのと、実物を観るだけでもこれほど違うのだから、実際に手に取ると更に感じが変わるのだろうなと、手に取った雰囲気を想像もしてみました。

この美術館、中ノ島の非常に眺めの良いところに建っています。傍にバラ園があり、薔薇の季節に訪れたいなと思いつつ美術館を後にしました。
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by umekononikki | 2011-06-15 09:13 | 展覧会

ゾリ

f0149664_9244615.jpgゾリ
コラム・マッキャン著
栩木伸明訳

1930年代、ナチスの影におおわれたスロヴァキアでファシストに家族を惨殺され、祖父とともに辛くも生き延びたジプシーの少女ゾリ。音楽を生業とする仲間との旅暮らしのなかで、歌にのせる言葉を紡ぎ出す楽しさを知った彼女は、ジプシーの掟で禁忌とされる読み書きをひそかに習い、天賦の詩の才能を開花させていく。激しく揺れ動く東西ヨーロッパの戦後史を生きた、ひとりの女の人生をあざやかに描く長編小説。
気鋭のアイルランド人作家がジプシーの詩人パプーシャの実話に着想を得て、渾身の力で書き上げたこの物語は、英語圏で発表と同時に大きな反響を呼び、世界20カ国で翻訳出版が決定した。


トニー・ガトリフ監督の「ガッジョ・ディーロ(1997年)」を思い出しました。ロマの音楽が非常に良かったために、サントラのCDを買った位です。言葉の意味は全く理解できないのですが、どうしてこんなにも心が振るわされるのだろうと感動した事を思い出します。そんなロマの女性の物語です。
ロマの歴史というよりも、ゾリという一人の女性の数奇な人生の物語です。物理的に欧州を放浪するだけでなく、ロマの文化や、近代化や、自分は何者かなど精神面でも彷徨い続けたゾリは、最後に何処にたどり着くのかと思いながら読みましたが、そうか、そうよねと言いたくなるラスト。彼女の迷いながらも歩みを止めない力強さに、勇気づけられました。
物語の中では、エンリコの「俺がどうしてジプシーじゃないのか尋ねなかったんだい。」という言葉が印象的でした。人は皆違います。同じ人間はいません。それは当然だと、誰もが理解しているはずです。しかし社会では、国や宗教や会社に属していると、とかく忘れがちです。ゾリは迫害されているロマであり、図らずもそのロマ達からも追い出されることになり、どこにも属さない、まさに独りになってしまいます。たとえ国に属していようがいまいが、ロマ達に属していようがいまいが、「私は私」とばかりに、軽快な語り口で進み続け、一人の女性としてゾリという個人としての煌めきを感じました。
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by umekononikki | 2011-06-09 09:24 |

残酷な出勤

f0149664_902155.jpg残酷な出勤
2006年
監督:キム・テユン
出演:キム・スロ、イ・ソンギュン、キム・ヨンミン他

株に失敗し借金に苦しむサラリーマンのドンチョル。借金返済の際に知り合ったマノと共に、女児の誘拐を試みるも親と連絡が取れず失敗。次は金持ちの娘を誘拐するが、その時「お前の娘は預かった。」との電話がドンチョルにかかってきます。誘拐犯が娘を誘拐される、二重誘拐の行方は・・・。

やはりこの映画も、イ・ソンギュンが観たかったんです。でも役どころは、なんだか中途半端でした。物語もそれなりに楽しめたのですが、焦点があっていないぼやけた印象が残ります。
ダークなコメディにしたかったのか、親子愛を演出したかったのか。ドタバタな印象はコメディでしたが笑えないし、親子愛といっても感動が薄かった。しかし、ドンチョルの娘を誘拐したのは誰なのか、ドンチョルが起こした誘拐は成功するのかと引き付けられる魅力はありました。かなり夢中に観ましたしね。個人的には、イ・ソンギュン演じるマノをもう少し何とかして欲しかった。誘拐を計画するも、他には何かしたかなぁと印象が薄い。ああ、常にストップウォッチで時間を計ってたっけ?もう少しドタバタから生じる偶然的成功があれば、痛快に感じたかもね。そう5億5000万円もせしめたのに、してやったという痛快さが無かった!そうだったか。大金の重みと、親子愛の深さがいずれも中途半端だったんだ、きっと。意外なラストが用意されていただけに、本当に勿体ない作品でした。でも、イ・ソンギュンを観れたので良しとするのだ。(それでいいのだ。)
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by umekononikki | 2011-06-08 09:00 | 韓国映画

精霊たちの家

f0149664_8452889.jpg精霊たちの家
(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 2-7)
イザベル・アジェンデ著
木村榮一訳

不思議な予知能力をもつ美少女クラーラは、緑の髪をなびかせ人魚のように美しい姉ローサが毒殺され、その屍が密かに解剖されるのを目の当たりにしてから誰とも口をきかなくなる。9年の沈黙の後、クラーラは姉の婚約者と結婚。精霊たちが見守る館で始まった一族の物語は、やがて、身分ちがいの恋に引き裂かれるクラーラの娘ブランカ、恐怖政治下に生きる孫娘アルバへと引き継がれていく。アルバが血にまみれた不幸な時代を生きのびられたのは、祖母クラーラが残したノートのおかげだった―幻想と現実の間を自在に行き来しながら圧倒的な語りの力で紡がれ、ガルシア=マルケス『百年の孤独』と並び称されるラテンアメリカ文学の傑作。軍事クーデターによって暗殺されたアジェンデ大統領の姪が、軍政下で迫害にあいながらも、祖国への愛と共感をこめて描き上げた衝撃のデビュー作。

この本に巡り合えた幸せ。精霊たちのお陰かもしれません♪500頁ほどあるにも拘らず、気がつけば最後の頁をめくっていたほど、夢中になりました。さて、どこから書けばいいのでしょうか。女性3世代に渡る物語で、振り返れば長い長い時間が過ぎたのだと感じる大河ドラマ並の読み応え。女性だけでなく男性も、登場人物全てが力強い。愛と憎悪。喜びと悲しみ。生と死。豊かさと貧困。国の近代化に政局の混乱。相対する様々な要素が入り乱れ、濃厚な時間が流れます。望むとも望まざるとも人生には様々な事が起こります。個人の力ではいかんともしがたい出来事を「運命」という言葉で片づけてしまいたくなりますが、あたかも第3者がいてその人の人生を決めてしまったような言い方は、この物語の登場人物たちには笑い飛ばされてしまいそうです。何をおいてもまず個人が存在し、起こる出来事はその人物の背景に過ぎないような存在する力が溢れています。そしてラストには、愛することや生きるということの、計り知れないエネルギーが押し寄せ感動しました。素晴らしい。
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by umekononikki | 2011-06-07 08:45 |

最強ロマンス

f0149664_9161273.jpg最強ロマンス
2007年
監督:キム・ジョンウ
出演:イ・ドンウク、ヒョニョン、チャン・ヒョソン他

先端恐怖症の刑事と、社会部に異動したい芸能記者とのラブ・コメディ。

期待しては観ませんでした。ただ目の保養に、イ・ドンウクを観たかっただけです。まぁ、とにかく、イ・ドンウクが素敵です。麻薬組織を追う中、ヒョニョン扮する記者が邪魔をする、ドタバタなコメディ。でも物語の押えどころは押えてあり、警察が麻薬組織を追い詰めるところは、コメディなりにもある程度描かれています。それ以外にコメントするならば、意外に新聞社の女社長が、ラストにいい仕事をしてくれたことかしら。コメディなのですが、そんなに笑える訳でもなかったし、刑事ものとしても緊迫感があまりなかった。しかし何はともあれイ・ドンウクがいいっ!白いシャツ姿も、トレンチコート姿も、スーツ姿も、何を着ても何をしても素敵。そう考えればイ・ドンウクを観るためだけにしては、結構楽しめた内容でした♪そうそう、エンドロールの時に流れる、その後の2人の様子が一番面白かったかも。ただのコメディではなくラブ・コメディだったことに、ラストで気付かされたのよねぇ。
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by umekononikki | 2011-06-06 09:16 | 韓国映画