展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

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GEQ

f0149664_9475893.jpgGEQ
柴田哲孝著

1995年1月17日午前5時46分阪神淡路大震災勃発。事実を積み重ねれば、恐るべき“真実”となる。GEQ(大地震)の裏に隠された陰謀とは?読む者を震撼させずにはおかない驚異の長編ミステリー。

面白かったぁ!阪神淡路大震災は、私も関西に住んでいて経験したので、本書に書かれている噂話も耳にしました。著者はかなり綿密に取材し、物語に描かれている多くが事実に基づいているらしいですね。だからといってそのまま鵜呑みにはできないほど、物語は大きく膨らみます。真相はどうあれ、物語としては楽しめました。物語中には中国四川省の地震や、9.11などなどの災害や事件が数多く登場します。あまりに多く列挙されるので、物語の現実味が薄らいだのは残念。これじゃあ、米国が地球を回してるって言い出すんじゃないかと思う位です。
ただ3.11と原発の爪痕がいまだに生々しく残っているこの時期に、読むのは少々きつかったかも。
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by umekononikki | 2011-11-30 09:48 |

落日燃ゆ

f0149664_1243922.jpg落日燃ゆ
城山三郎著

東京裁判で絞首刑を宣告された七人のA級戦犯のうち、ただ一人の文官であった元総理、外相広田弘毅。戦争防止に努めながら、その努力に水をさし続けた軍人たちと共に処刑されるという運命に直面させられた広田。そしてそれを従容として受け入れ一切の弁解をしなかった広田の生涯を、激動の昭和史と重ねながら抑制した筆致で克明にたどる。毎日出版文化賞・吉川英治文学賞受賞。

面白かったです。そして勉強になりました。物語ではあるのでしょうが、広田弘毅の魅力的なこと。そしてこの物語は、日本人として知っておくべきことが詰まっているように思いました。戦後の日本がいかにして造られてきたかの礎となった時期を、もう少し勉強し直さなくてはと反省させられます。それにしても「政治」って恐ろしと感じますね。歴史の流れに翻弄されたというよりも、「政治」という魔物に関わってしまったがために、たどり着いた終着点だったように感じました。多くの命を奪った形容しがたい悲惨な戦争の裏で、このような人物がいたという切り口が興味深かったです。まぁ、実際の広田弘毅には、様々な考察があるようですね。他の本も読んでみたいと思います。
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by umekononikki | 2011-11-29 12:04 |

宇宙舟歌

f0149664_1373229.jpg宇宙舟歌
R.A.ラファティ著
柳下毅一郎訳

偉大なるほら話の語り手、R.A.ラファティの初期長篇作。異星をめぐって奇怪な冒険を繰り広げる、底抜けに楽しい宇宙版「オデュッセイア」。どす黒いユーモアと幻想的なロマンティシズムが炸裂する。

西洋&未来版の妖怪世界を見たような気分。怠惰で残酷でお気軽に描かれる生死観。それでも「間違った方向」へどんどん進む様は愉快でした。これじゃあ何でもありじゃん!と叫んでしまいたくなるほど、何でもありの世界。こうなりゃ、どうにでも好きなようにしてくれと投げやりなまでの解放感!それでもラストは落ち着くところにたどり着き、物語の終焉の寂しさを味わいます。何なのでしょうねぇ、このどうでもよくなるような快感が魅力の物語でした。
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by umekononikki | 2011-11-28 13:07 |

鋼の夏

f0149664_10524552.jpg鋼の夏
シルヴィア・アヴァッローネ著
荒瀬ゆみこ訳

イタリアの製鋼所の町ピオンビーノ。そこに暮らす13歳のアンナとフランチェスカは、それぞれに異なった美しさを持つ、無二の親友同士だった。しかし、アンナが兄の友人に恋をしたことをきっかけとして、二人の友情は、少しずつすれちがっていく―閉塞的な社会のなかで懸命にもがき生きる若者たちの、刹那的な輝きを見事に描き上げた若き才能のデビュー作。カンピエッロ文学新人賞、フライアーノ文学賞、フレジェネ賞受賞作。

なんとまぁ、13歳の少女とは思えぬ早熟さ。日本人には、少し理解しがたい年齢かもしれません。守りたいもの、変わりたい自分、壊したい社会。熱にうなされたような思春期の混沌が詰まった物語でした。「何か」をしたい。「どうにか」したい。自分が求める物は何なのか。本当に、多くを考え行動しようとした思春期。大人への脱皮の苦しみやジレンマが、焼けついた鋼を素手で触るような強烈な刺激として伝わってきます。しかし、いつの間にかそんな時期が過ぎ去ります。気がつけば、あの苦しみやジレンマは忘れてしまい、何も無かったような日常が帰ってきます。お見事!
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by umekononikki | 2011-11-25 10:52 |
f0149664_854144.jpg磯江毅―グスタボ・イソエ
-マドリード・リアリズムの異才-

奈良県立美術館

2011年11月12日(土)、日が差すと汗ばむ陽気の中、鹿をよけながら向かった先は「東大寺ミュージアム」。この日のメインは「磯田毅展」でしたが、せっかく奈良まで来たのだからと、オープンしたての「東大寺ミュージアム」へも行ってきました。
まずは「東大寺ミュージアム」の感想ですが、先日、京都の「東寺」を観た後なので、展示数も少なく物足りない感は否めません。ただつまらなかった訳ではなく、見どころはありました。大仏殿と併せて¥800だった事を思えば、お得な内容だと思います。
大仏殿を後にして、美術館へ。これが、ただただ素晴らしかったです。ここまでリアルな写実でありながら、作品を前にするとやはり「絵画」だと感じます。写真とは明らかに一線を画しています。リアルになればなるほど、「絵画」でしか表現できない領域に踏み込むようです。 マドリードの乾いた空気や、光の加減、対象物への視点の差。そのセンスは、写実の技術と相まって、いつまでも観ていたくなるような、時間の感覚を忘れさせられました。生の鶏肉や果物、花。それらは、刻々とごく僅かずつ変化するにも関わらず、瞬きするその一瞬をとらえたような、僅かな違いをも捕らえたようでした。出口には画集や絵はがき等が売られていましたが、これほどの写実も印刷されると、また別の物に見えるのが面白かったです。
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by umekononikki | 2011-11-24 08:54 | 展覧会

FBI美術捜査官

f0149664_1036245.jpgFBI美術捜査官―奪われた名画を追え
ロバート・K・ウィットマン、ジョン・シフマン著
土屋晃、匝瑳 玲子訳

レンブラント、フェルメール、ノーマン・ロックウェル…美術館の壁から、忽然と姿を消した傑作の数々。潜入捜査でたくみに犯人をおびき寄せ、歴史的至宝を奪還する。美術犯罪捜査に命を賭けた男と、そのチームの物語。

楽しめました。映画さながらの潜入捜査や組織との軋轢を描いたドキュメントなのですから、面白いはずです。盗品を奪還する過程も興味深かったですが、FBIという組織の中で「美術品捜査」の専門部署を作る困難さ、またFBIと他の組織との摩擦なども盛り込まれ、最後まで夢中で読まされてしまいました。犯人逮捕よりも、盗品の奪還を優先に捜査をすすめ、美術品、文化財を盗むことへの罪についての考え方にも共感できます。最後は未解決のままに終わった事件でしたが、今後の解決を祈るばかりです。
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by umekononikki | 2011-11-18 10:36 |
f0149664_11384231.jpgデイヴィッド・ジンマン指揮
チューリッヒ・トーンハレ管弦楽団withヨー・ヨー・マ

2011年11月11日(金)19:00開演
ザ・シンフォニーホール

プログラム
ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
アンコール
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲 第6番よりサラバンド
休憩
マーラー:交響曲第5番

今回は、私にとって難解だったショスタコーヴィチについてwikiで調べてみました。
ドミートリイ・ドミートリエヴィチ・ショスタコーヴィチ(1906-1978)は、ソヴィエト連邦時代の作曲家。初期の作風は前衛的なものだったとか。その後、ソ連政府が強制する社会主義リアイリズムへと転換し、とりわけロシア革命を主題とした映画音楽の占める割合が多くなります。第二次世界大戦がはじまったころからユダヤ音楽へ傾倒。スターリン死後からの「雪解け」の時期は、近代的で斬新な作風でした。丁度この頃に作曲されたのが、今日のチェロ協奏曲第1番でしょうか。確かに斬新。そして晩年には、自身の「死」を意識したといわれる曲も残しています。

それにしても素晴らしかった!ショスタコーヴィチは、絶妙なバランスで、少しのもつれが全体の崩壊につながるような危うい曲を、見事に演奏しきったように思いました。よくもまぁ、こんな曲を形に出来るものだなと。そして、マーラーの5番。ショスタコーヴィチとは違った意味で、よくもまぁ、こんな曲を演奏するものだと圧倒されっぱなしでした。あれだけの人数で演奏しているとは思えない、一糸乱れぬ弦楽器の演奏が印象的でした。もちろん管楽器も素晴らしかったですよ。ああ、こういった充実の公演をどのように表現したらいいのやら解らない自分がもどかしい位、満足の内容でした。幸せ。
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by umekononikki | 2011-11-17 11:38 | コンサート

ポルトガリヤの皇帝さん

f0149664_1733012.jpgポルトガリヤの皇帝さん
ラーゲルレーヴ著
イシガオサム訳

スエーデンの片田舎。貧しい農夫ヤンは、ある日突然、一人娘のグッラを出稼ぎに出さねばならなくなってしまう。いつまでたっても帰って来ないグッラ……。最愛の娘の帰郷をひたすら待ち続けるヤンの心は、いつしか女王様の帰還を待ちわびるポルトガリヤの皇帝になり変っていった。ラーゲルレーヴがおくる父と子の愛の物語。

心の底から全てを絞り出すかのように娘を愛すヤン。そんな父親の愛情に気付かない娘グッラ。そのすれ違いが切ない、おとぎ話の様な物語でした。ヤンにとって娘が生まれた事が、本当に幸福だったのでしょうか?娘がヤンの元にすぐに戻っていれば、すれ違いは起きなかったのでしょうか?親子から子への「無償の愛」と言うには違和感がある「愛」を、自身が想い過ぎてその気持ちを収拾できなくなります。様々な「愛」のカタチが物語で表現されていますが、この「愛」は「愛」を通り越してもはや「愛」ではなくなった「愛」のようにも感じます。悲劇を滑稽に表現するには、あまりにも悲しい展開でした。
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by umekononikki | 2011-11-14 17:03 |
f0149664_12422142.jpgカレーソーセージをめぐるレーナの物語
ウーヴェ・ティム著
浅井晶子訳

カレーソーセージというファストフード誕生を巡る一人の女性の悲恋の物語。食べ物が人間に与える幸福と苦悩が、敗色濃いナチス・ドイツで脱走兵をかくまいつつ、不器用だがしたたかに日常を生きるレーナの人生と共に語られる。

面白かったです。戦時下、力強く生き抜く主人公の女性レーナがとても魅力的でした。この女性が過去を振り返り語るのですが、私自身がこの女性の聞き手になったような錯覚を覚えながら読み進めました。やがて終戦を迎えますが、女性には安寧の日は訪れません。愛する男性にもどこか不器用で、最善の方法ではないと解っていながらも前に進みだせないでいます。戦争が人生を狂わせたのか、それとも男運が悪いのか。何がどうなって、この状況を招いてしまったのか。これまでの努力は一体何だったのか。そんな多くの想いに押しつぶされそうになった時に、カレーソーセージが生まれます。その瞬間が、鳥肌が立つほど良かったです♪たかがカレーソーセージ、されどカレーソーセージ。今晩のおかずにカレーソーセージもどきでも作って、物語の世界に想いを馳せてみようかしら。
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by umekononikki | 2011-11-10 12:42 |

碁を打つ女

f0149664_902563.jpg碁を打つ女
シャン・サ著
平岡敦訳

1937年、日本が帝国主義を強める満州。満州の娘と日本人士官が互いの素性も知らぬまま対局し、惹かれあう。だが、日本軍と抗日軍の対立は激化し、運命は思わぬ方向へ…。フランスの高校生が選ぶゴンクール賞受賞作。

多くを語ってはいないのですが、情景や心情を豊かに感じる事が出来ました。作者の履歴を考えると、素晴らしいとしか言いようがありません。男女が互いの名前すら知らず、読者にも知らせず、互いに「私」で物語が進むのも、独特の雰囲気があります。気がつけば物語の世界に夢中になっていました。単純に敵対する者同士が恋に落ちる悲恋物語なのですが、単純ながらにも「よくあるパターン」で終らせない美しい世界観が素晴らしかったです。
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by umekononikki | 2011-11-09 09:00 |