展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

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裏側からみた美術史

f0149664_22180100.jpg裏側からみた美術史
宮下規久朗著

凡人に嫉妬した天才、究極の身体芸術、医学と絵画のあいだ、ヌードが取り締まられるとき─―通常の美術史では取り上げられていない意外なエピソードや発見を綴った異色の二十話をを集めた掌編。

面白かったです♪♪♪気軽に読み出したものの、その奥深さには驚きでした。しかも、平易な説明で読みやすい!そのタイトルから作品や作者にまつわる裏話かと思いきや、戦争や宗教、医学などとの関係を通じて美術とは何ぞやと問いかけられているようです。考えさせられる内容でした。だからといってそんなに深刻で重く感じないのは、著者の斜め目線がいい味を出しているからでしょうね。著者のカラヴァッジョの本も読んでみたいと思います。(カラヴァッジョ、好きなんですよね~。)
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by umekononikki | 2012-04-30 22:18 |

スターバト・マーテル

f0149664_234491.jpgスターバト・マーテル
ティツィアーノ・スカルパ著
中山エツコ訳

18世紀ヴェネツィア。赤ちゃんポストに置き去りにされたチェチリアは、卓越した音楽的才能の持ち主だった。新任の音楽教師アントニオは彼女の優れた才能をすぐに見抜くが、同時に激しい嫉妬にかられる―謎の多いヴィヴァルディの生涯の一時期を、養育院で孤独に暮らす少女の目から描き、イタリア最高の文学賞、ストレーガ賞受賞作

う~ん、どうなのでしょう?独特の雰囲気はあるものの、どこか押しが弱い感じでした。ラストのあの流れには乗れませんでした。
チェチリアの母への思いや自身への不安を、延々と独り言としてつぶやくその世界は面白かったです。孤児として育った心の闇と、養育院という独特の環境の中での孤独。夜の深い闇の中を手探りで歩いているような、暗く深い川の流れに飲み込まれたような雰囲気は良かったのになぁ。後半の音楽的才能が芽生えてからは、その才能と嫉妬、そして心の闇から解き放たれる流れには乗り切れませんでした。ヴィヴァルディの役どころも、いまいちはっきりしなかったし。
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by umekononikki | 2012-04-29 23:43 |
f0149664_1135076.jpgロスト・シティ・レディオ
ダニエル・アラルコン著
藤井光訳

舞台は内戦状態にある架空の国の首都。行方不明者を探すラジオ番組「ロスト・シティ・レディオ」の女性パーソナリティーのもとを、ある日ひとりの少年が訪ねてくる。ジャングルの村の人々が少年に託した行方不明者リストには、彼女の夫の名前もあった。次第に明らかになる夫の過去、そして暴力に支配された国の姿―。巧みなサスペンスと鮮烈な語り。英語圏、スペイン語圏の双方で高い評価を獲得してきたペルー系アメリカ人作家による初長篇。PEN/USA賞、ドイツ・国際文学賞、受賞作。

個人的には、内戦状態の世界を物語の世界として想像を広げることが難しかったです。粛清、行方不明、暴力などの世界が、読んでいて少しきつかったのかもしれません。
物語の始まりは内戦状態で、全てが行き詰まってしまったような閉塞感。到底そこからは抜け出せそうに無い世界ながらも、「行方不明者のリスト」とこれまた行き詰まった感満載の要素から、物語の世界が広がっていきます。物語は過去を振り返りながら前進していき、暴力と悲劇の世界は変わっていないのに、何かが違って見えるのは何が変わったからなのでしょうか。余韻に浸ってしまいました。ノーマの夫にまつわるサスペンスは、緊張感があり面白かったですが、物語の世界観は私には合わなかったかな・・・。
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by umekononikki | 2012-04-28 11:34 |

残念な日々

f0149664_14315722.jpg残念な日々
ディミトリ・フェルフルスト著
長山さき訳

ベルギー、フランダースの小さな村での、貧しく、下品で、愛情にみちた少年時代。最初から最後まで心をわしづかみにして離さない、びっくりするほどチャーミングでリリカルな、フランダース文学の俊英による自伝的物語。金の栞賞、金のフクロウ文学賞読者賞、高校生によるインクトアープ賞受賞作。

「残念」。タイトルのこの言葉に惹かれて読み始めました。「残念」って、残念じゃない結果もありえたんだけども、結果は残念だったってことでしょう。貧しく下品なんだけど、救いようが無いわけじゃない、その微妙なニュアンスが不思議と心地よい物語でした。
貧乏で下品でどうしようもない大人たちに囲まれて、でも愛情って気持ちは感じるとこができるんですよね。なんだか階段を一段踏み外してしまったがために、ずるずると下まで落っこちてしまったよう。下まで落ちちゃったんだけど、それは階段を下まで落ちちゃっただけで、ビルの最上階から落ちたわけじゃないそんな状況。ああ、だからやっぱり「残念」が良く似合っているのね。ホント、残念。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-04-26 14:32 |

南蛮美術の光と影

f0149664_2324574.jpg開館30周年記念特別展
南蛮美術の光と影
神戸市立博物館

2012年4月24日、三宮の神戸市立博物館へ。本当にお天気が良く、阪急三宮駅から歩くと気持ちの良いこと!今回の展覧会の面白いところは、その内容より、この展覧会を2度観たい時はチケットの半券を持参すれば団体料金で観ることができること。博物館のHPにも案内があるので、ご覧くださいませ。
さて、今回のメインの「泰西王侯騎馬図屏風」。日曜美術館でも以前に紹介されていましたが、サントリー美術館と神戸市立博物館のものとが並ぶと圧巻でした。でもやはり昔から観て愛着があるだけに、サントリー美術館の物より神戸市立博物館の屏風の方が躍動的で好みです。この展覧会の最初に展示されている桃山時代の狩野内膳や狩野山楽と伝えられている作品と比べると、これらの屏風は西洋画法を取り入れただけにその表現が違います。その新しい画法を取り入れた中でも、他の作品より洗練されているのがよくわかりました。
しかしまぁ、試行錯誤が感じられる初期の洋画風の作品は面白かった!表現は遠近法(といっても、どこかつたなさが残るのですが。)を使い、日本画的に一つの画面に春夏秋冬が表現された作品は珍しいんじゃないでしょうか?(素人なので分かりませんが・・・。)
他にも歴史で学ぶキリシタン弾圧のための「踏絵」や、お馴染みの「フランシスコ・ザヴィエル像」も展示されていました。
いやー、楽しめた展覧会でした。
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by umekononikki | 2012-04-25 23:02 | 展覧会

さもなくば喪服を

f0149664_1171195.jpgさもなくば喪服を
ドミニク・ラピエール、ラリー・コリンズ著
志摩隆訳

現代スペインの象徴とも称される偉大な闘牛士エル・コルドベス。内戦下に生まれ、飢えから逃れる唯一の手段として闘牛士を目指し、時に重傷を負い、命さえ落としかねない険しい道を歩みはじめた青年。彼はその荒々しい技でスペイン各地に興奮をもたらし、首都マドリードの大闘牛場を熱狂する観衆であふれさせる。無の境遇に生まれた男が自らの強い意志で這い上がり勝利を手にするまでの壮絶な半生を鮮烈に描いた驚嘆と感動のノンフィクション。

闘牛士というだけで十分すさまじいエンターテイメントなのに、そこにたどり着くまでの半生もすさまじい。豪奢な衣装に身を包んだ闘牛士が牛を追い詰める、「命をかけた」という表現が誇張ではなく、現実に多くの闘牛士が命を落としている闘牛の世界。貧困から抜け出すため、一攫千金の代償が「命」とはあまりに重い。闘牛士になるまでに、その重さを十分身にしみて感じてるはずなのに、闘牛士の道を歩む力強さ。その道のりと重なるように、スペインも激動の時代を送ります。そんな歴史的な背景が国民性に影響するのでしょうか。闘牛の血生臭さと、男の汗と、そして観衆の熱狂の世界が、奥深く感じられました。そこには理屈では表現できない興奮があるのですね。興味深く読みました。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-04-21 11:06 |

藤田傳三郎の軌跡

f0149664_1981640.jpg生誕170年 没後100年
藤田傳三郎の軌跡
藤田美術館

2012年4月20日、小雨の振る中、JR東西線の大阪城北詰駅を降り藤田美術館へ。この日は造幣局の桜の通り抜けの期間中だったため、多くの人がこの駅で下車していました。先日、NHKの日曜美術館で紹介されていただけに、この人の多さはもしかしてとも思いました。昨年、奈良の国立博物館で観た三蔵法師絵巻。それらの一部が、この藤田美術館所蔵となっていたので気にはなっていたのです。そうこうしている内にNHKで取り上げられたので、これは行かねばと足を運びました。
JRの大阪城北詰の駅は地下にあるのですが、ちょうどこの駅の上一帯が「藤田邸」だったのですね。いやー、驚きです。美術館は蔵を利用しており、藤田邸跡は公園になっていましたが、まぁ広いこと。
展示品は51点と小規模な展示なのですが、内容は重要文化財が8点、国宝4点なのですから、濃すぎる内容といっても過言ではないでしょう。最近私の中でのプチブーム「羅漢」。羅漢図も見ごたえのあるものが数点展示されていました。もちろん玄奘三蔵絵もあります。奈良で見たときより距離が近く、筆のあとまで見えるようでした。そう、展示されているケースが小さいからか、作品との距離がどれも近く感じ、とても楽しめました。
出入り口のところに絵葉書が販売されていましたが、それらを見たところ、9月から「藤田傳三郎の想い」と題し、国宝のお茶碗が展示されるようですね。そちらも足を運びたいと思います。
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by umekononikki | 2012-04-20 19:08 | 展覧会

やんごとなき読者

f0149664_2225484.jpgやんごとなき読者
アラン・ベネット著
市川恵里訳

飼い犬が縁で、読書に目覚めた女王エリザベス二世。読書は彼女に喜びと、ひとつの疑問をもたらした。女王ではない、「わたし」の人生とは、何……? 英国ベストセラー小説、各紙誌書評絶賛!

さっくりと楽しかったです。女王陛下の読書に振り回されて、ヘトヘトなうえ、最後にはそうきましたか。陛下、参りました、と思わずつぶやいてしまいました。イギリス人なら「クスッ」と笑える箇所が満載のようでしたが、そこはいまいち理解できず。それでも本好きならではのエピソードには、大いに共感できて面白かったです。
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by umekononikki | 2012-04-17 22:26 |

イタリア広場

f0149664_1530681.jpgイタリア広場
アントニオ・タブッキ著
村松真理子訳

《タブッキの処女作》トスカーナ地方の海からそう遠くない、ある小さな村が舞台。それは象徴的に、「村(ボルゴ)」とだけ呼ばれ、物語の主人公は、そこに生きる、三世代にわたる一家だ。物語は円環構造をもっている。「エピローグ」(と呼ばれているが巻頭にある)は、第二次大戦後、この作品の最後の主人公ガリバルドの悲劇で幕を開ける(閉じる)

良くも悪くも処女作ですよね~。ただこの作品がスタートだったかと思うと、なんだか興味深く読みました。処女作といえどやはり物語がグルグル回っている、フィッシャーのだまし絵を見てるような不思議な気分にさせてくれます。「百年の孤独」から冒頭に家系図が出てくると構えてしまうのですが、杞憂でした。実にシンプルに、的確に物語りは回ります。短い話が数珠のようにつながり、人間くささと幻想とがバランスよく配合され楽しめました。
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by umekononikki | 2012-04-16 15:30 |

結婚のアマチュア

f0149664_22124513.jpg結婚のアマチュア
アン・タイラー著
中野恵津子訳

結婚30周年を祝うパーティが開かれた晩、「それなりに楽しい結婚生活だったわよね」と振り返るポリーンに、「地獄だった」と夫のマイケルはつぶやく。それはいつもの夫婦喧嘩のはずだったのだが―どこにでもいる夫婦の60年間を、円熟味あふれる筆致で巧みに描く。しみじみおかしくてほろ苦い“身につまされる”小説。

これは本当に「身につまされる」物語。夫婦の関係、親子の関係共に、多くの人が共感できるのではないでしょうか。
愛し合って結婚したはずなのに、相手の箸の上げ下ろしすら気に食わなくなるのは、相性が合わなかったのか、時間のなせる弊害なのか。子供にもあきれてられてしまうほど滑稽だと、分かっているけど我慢できない。この妻、夫、子供たちの視点が、実に上手く捉えられていて、三者の立場がそれぞれに納得できるんだから、上手いなぁと関心させられます。
このこじれたところに綾小路きみまろが登場すれば、案外上手くいくのかもしれませんね。しかし都合よく、自分たちの状況を笑いに変えてくれる人が登場するわけがありません。
共感したくないけど、共感できる物語でした。面白かったです。
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by umekononikki | 2012-04-15 22:12 |