展覧会と本と韓国ドラマと時々K-POPかな・・・。

by 梅子

<   2012年 12月 ( 18 )   > この月の画像一覧

夜毎に石の橋の下で

f0149664_13431399.jpg夜毎に石の橋の下で
レオ・ペルッツ著
垂野創一郎訳

神聖ローマ帝国の帝都プラハを舞台に、皇帝ルドルフ2世、ユダヤ人の豪商とその美しい妻、宮廷貴族、武将、死刑囚、錬金術師、盗賊団、道化、画家らが織りなす不思議な愛と運命の物語。夢と現実が交錯する連作短篇集にして幻想歴史小説の傑作。

連作短編集だとは知らず、1話目を読んでラストの意味が分からず首を傾げました。が、読み進めていると、なるほどそう繋がってくるのかと世界がどんどん広がってゆきます。中世プラハを舞台に、幻想的な世界が登場人物たちを惑わせるのか、人間の様々な欲望が幻想の世界を作り出すのか・・・。そんな世界で欲望の堂々巡りの輪に取り込まれたことに気付かない人間たちを、高みから眺めて微笑んでいるかのような意地悪い快感を感じました。大人向けのおとぎ話ですね。幻想的な世界が、とても好みでした。


さて、本日で今年も終わりなのですね。つたないブログを読んでくださった皆様に、お礼申し下上げます。個人的には区切りの一年となりました。あらゆる意味で、来年から新しい一歩を踏み出したいと思います。皆様、良いお年をお迎えください。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-31 13:43 |

ジョン・マン 波濤編

f0149664_19163097.jpgジョン・マン
波濤編

山本一力著

わずか十四歳。寺子屋にも満足に通えなかった貧しい漁師が鎖国日本から身ひとつで漂流。初めて西洋文明(アメリカ)の中で暮らした日本人となり、初めて欧米の高等教育を受けた日本人となり、初めて世界の大洋を巡った日本人となり、ゴールドラッシュのカリフォルニアで金を掘り、唯一、自力で帰国を果たした日本人漂流民となった。帰国から二年後、あのペリー艦隊がやってくる。この男がいなければ、日本は植民地になっていたかもしれない。土佐に生まれた作家が渾身の筆で描く、郷土の先達、中浜万次郎ことジョン・マンの奇跡の生涯。

これは・・・、う~ん、感想を書こうかどうしようか迷ったなぁ。だって面白いんだけど、1冊でこの内容じゃ物足りません。中浜万次郎の生涯を描くのに、このペースで進んで何冊必要なんだろうと考えると、先を読もうという気が萎えるよなぁ。そんな訳で、この1冊目。中浜万次郎が遭難し、無人島で救助の船を待つところで終わっています。現在3冊目が出ているようですが、果たして何処まで進んだのでしょうか。全巻出揃ったところで一気読みしようかしら。そんな気分です。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-30 19:16 |

巨匠とマルガリータ

f0149664_1851922.jpg巨匠とマルガリータ
(池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-5)
ミハイル・A・ブルガーコフ 著
水野 忠夫 訳

焼けつくほどの異常な太陽に照らされた春のモスクワに、悪魔ヴォランドの一味が降臨し、作家協会議長ベルリオーズは彼の予告通りに首を切断される。やがて、町のアパートに棲みついた悪魔の面々は、不可思議な力を発揮してモスクワ中を恐怖に陥れていく。黒魔術のショー、しゃべる猫、偽のルーブル紙幣、裸の魔女、悪魔の大舞踏会。4日間の混乱ののち、多くの痕跡は炎に呑みこまれ、そして灰の中から〈巨匠〉の物語が奇跡のように蘇る……。SF、ミステリ、コミック、演劇、さまざまなジャンルの魅力が混淆するシュールでリアルな大長編。ローリング・ストーンズ「悪魔を憐れむ歌」にインスピレーションを与え、20世紀最高のロシア語文学と評される究極の奇想小説、全面改訳決定版!

あまりの奇想天外ぶりに、「私は一体何を読んだんだぁ~。」と、読後すぐには感想が出てきませんでした。悪魔ヴォランドに魔法を掛けられ、荒唐無稽の世界に翻弄されながら、最後にはなんだか満たされた気分になり、気がつけば物語りは幕を閉じていました。とにかく悪魔ヴォランドが子供が無邪気に遊ぶかのように世の中を引っ掻き回すんですから、ぼーっとしていると物語から振り落とされそうで必死(夢中)に物語の世界に張り付いてました。そうなだけにラストの純愛振りには、これまでの残酷さや醜悪さはどこへやら、妙に満たされた思いに、戸惑いつつも物語が終わってしまうんですから。ああ、とんでもないものを読んじゃったぞ~ってな気分に呆然と本を閉じました。なるほど解説を読むと、物語を読み解くヒントがありますが、それも冷静になってから振り返りなるほどなと感じました。魔法を掛けられた箱を開けてしまい、それを閉じた後に事の重大さに気付かされたような読後感。面白かったです。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-28 18:05 |

フランス組曲

f0149664_15593721.jpgフランス組曲
イレーヌ・ネミロフスキー著
野崎 歓 、 平岡 敦 訳

一九四〇年初夏、ドイツ軍の進撃を控え、首都パリの人々は大挙して南へと避難した。このフランス近代史上、最大の屈辱として記憶される「大脱出」(エクソダス)を舞台に、極限状態で露わとなる市井の人々の性を複線的かつ重層的に描いた第一部「六月の嵐」。ドイツ占領下のブルゴーニュの田舎町を舞台に、留守を守る女たちと魅惑的な征服者たちの危うい交流を描く第二部「ドルチェ」。動と静、都会と地方、対照的な枠組みの中で展開する珠玉の群像劇が、たがいに響き合い絡み合う。
著者は一九〇三年キエフ生まれ。ロシア革命後に一家でフランスに移住したユダヤ人。四二年アウシュヴィッツで亡くなった。娘が形見として保管していたトランクには、小さな文字でびっしりと書き込まれた著者のノートが長い間眠っていた。命がけで書き綴られたこの原稿が六十年以上の時を経て奇跡的に世に出るや、たちまち話題を集め、本書は「二十世紀フランス文学の最も優れた作品の一つ」と讃えられて二〇〇四年にルノードー賞を受賞(死後授賞は創設以来初めて)。フランスで七十万部、全米で百万部、世界でおよそ三五〇万部の驚異的な売上げを記録(現在四十カ国以上で翻訳刊行)、映画化も進行中である。巻末に収められた約八十ページに及ぶ著者のメモや書簡からは、この奇跡的な傑作のもう一つのドラマが生々しく伝わって来る。流麗なる訳文で贈る、待望の邦訳。


厚めの本ながら、夢中で瞬く間に読了。物語の背景を考えることも重要ですが、まずはその物語の世界の魅力に引き込まれました。「大脱出」の緊張感で息もつかせぬ一部と、占領下でありながらどこか牧歌的なのどかさを感じさせる二部。未完でありながらも、対照的なこの二部だけでも十分に読み応えのある内容でした。とはいえ、続きはやはり気になるところ。巻末にその手がかりとなるノートの内容が掲載されていることが救いです。それでもある程度先のことしか推測できず、最終的な結末は分かりません。(もっとも著者自身も、まだ考えがまとまっていなかったようですが。)未完でありながらも、これだけの読み応えがある内容なのですから、完成していたら傑作となっていたでしょう。
そしてやはり書かずにはいられないのは、この物語の来歴。アウシュヴィッツで亡くなった著者の形見のトランクから出てきたんですから、物語以上にドラマチックなことですよね。映画化も進行中のようですが、できればその後の物語も少しは付け加えて欲しいなと・・・。せっかく手がかりも残っていることですしね。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-27 15:59 |
f0149664_19193775.jpgコンスエラ
 7つの愛の狂気

ダン・ローズ著
金原瑞人、野沢佳織訳

『コンスエラ』(原題“Don't Tell Me the Truth About Love”)は、「愛」をめぐる七つの寓話が収められた短編集です。しかし「愛」とは言え、いま流行の「純愛」とは真っ向から対立。ダン・ローズが紡ぐ愛のエピソードは残酷で滑稽で皮肉で、ときにグロテスクでさえあります。「アンデルセンではなくグリムの世界を、恐怖とユーモアをまじえて、現代に再現したような短編集とでもいえばいいだろうか」とは、訳者金原瑞人氏の言葉ですが、読者は描かれた愛の不条理に面喰いながらも、ダン・ローズの圧倒的な筆力によって、いつしかその独特な世界観に引き込まれてしまうはずです。

かなり好みな作品。印象的だったのはやはり表題作「コンスエラ」。あとは「カロリング朝時代」かな。「愛」という眼に見えない人間を支配する感情には恐ろしさと幸せの矛盾した両面を持ち、ゆえに傍から見ればたまらなく理不尽なんだけど、当人は必ずしもそう感じてはいないズレがあります。そのズレが、これでもかと巨大化され圧倒されました。嬉しさや悲しさは他者からみても比較的理解し易い感情ですが、この人を愛する感情は「愛する」という感情の豊かさは理解できても、「なぜこの相手?」と日常生活でも疑問符がよく付くもの。嬉しければ笑い、悲しければ泣くのでしょうが、愛に関してその表現は千差万別。考えれば考えるほど「愛」って感情は不思議な感情なんですね。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-20 19:20 |

ぼくの伯父さんの休暇

f0149664_1614485.jpgぼくの伯父さんの休暇
ジャン=クロード・カリエール 著
ピエール・エテックス イラスト
小柳 帝 訳

1952年に公開されて以来約半世紀、いまだに愛され続ける映画『ぼくの伯父さんの休暇』。実はこの日本語版は、1995年に一度出版されましたが、その後入手困難な「幻」の本となっていました。今回はデザインを一新、待望久しい復刊です。映画そのままの軽妙な味わいのあるストーリーをエテックスのユーモラスなイラストとともにお楽しみください。

子供の頃、本を読む原動力となった挿絵。挿絵の背景が知りたくて、本を読んだことを思い出しました。そんな魅力溢れる挿絵がふんだんにあり、それらのお洒落な挿絵とともに、ひと時の休暇を楽しみました。映画のノベライズということですが、映画のほうは観てないんですよね。小説とはまた違った視点から撮られているそうなので、これは観てみなければ!パリのバカンスって、当時はこんな感じだったのでしょうか?おとぎ話の様な優しいユーモアと、レトロな時代背景とで、スピードが求められる現代から、暫しのタイムスリップで心の休暇を味わいました。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-19 16:14 |
f0149664_1248335.jpgマルコヴァルドさんの四季
イタロ・カルヴィーノ著
関口英子訳

都会のまんなかに暮らしながらも、心うばわれるのは、季節のおとずれや生きものの気配。大家族を養うため、家と会社のあいだを行き来するマルコヴァルドさんのとっぴな行動とユーモラスな空想の世界が、現代社会のありようを映しだします。

子供にも大人にも読んで欲しい、と言うより読むことのできる魅力溢れる物語でした。マルコヴァルドさんの見つめる先に映っている「何か」がとても新鮮で、とても50年以上も前に書かれたとは思えないほどです。人間社会が求めたり、求められているものの根幹は、いつの時代にも共通しているのかもしれませんね。そもそも人間は、頭の先から足の先まで全て良い要素でできてはいないものです。社会もよりよい方向へ前進しているようで、個人から見ればそうではないことが多いもの。そんな世の中の矛盾と混沌の中で、完璧ではない人間が寄り道したり壁にぶつかったり、時には楽しいこともありと、空想と現実の調和で見事に世界を広げています。幸せな気分にはなりません。しかしイヤな気分にもなりません。ただ前を向いて、日々の生活を送っていこうと、妙な平常心を呼び起こされたような気分になりました。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-18 12:49 |
f0149664_1321710.jpgなぜ、「これ」は健康にいいのか?
小林弘幸著

本書は、近い将来、医学と健康の常識になるであろう「自律神経のコントロール法」を、医師が書いた最初の一般書です。自律神経のコントロールが体の免疫力を最大限に引き出すことを、医学的に解き明かした画期的な書といえるでしょう。

興味深く読みました。自律神経のバランスが健康に大きく影響し、その仕組みを知れば、健康だけでなく、日常生活に大きく役立つものだというところが面白かったです。簡単な方法で人生の質を上げれるのなら、早速実践してみようと思います。それにしても、この感想を書くためにAmazonの内容紹介を読むと、まぁこれが内容そのまんまで読まずとも結論まで分かっちゃうんだから凄いです。ここまで書いちゃうと、本買わなくてもいいよなぁと思っちゃいます。そんな私も、図書館で借りて読んだのですが・・・。テレビでも話されていることとも重複していますが、断片でしか見ていないので、「まとめ」的に読むことがでました。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-17 13:02 |
f0149664_15554858.jpg山下洋輔 スペシャル・ビッグバンド
ボレロ&展覧会の絵

2012年12月15日(土) 17:00開演
兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール

プログラム
[第1部]
Rockin' in Rhythm ロッキン・イン・リズム
作曲:デューク・エリントン/編曲:松本治

All the Things You are オール・ザ・シングス・ユー・アー
作曲:ジェローム・カーン/編曲:松本治

Groovin' Parade グルーグィン・パレード
作曲:山下洋輔/編曲:松本治

Memory is a Funny Things メモリー・イズ・ア・ファニー・シング
作曲:山下洋輔/編曲:松本治

Bolero ボレロ
作曲:モーリス・ラヴェル/編曲:松本治

[第2部]
Pictures at an Exhibition 組曲「展覧会の絵」
作曲:モデスト・ムソルグスキー/編曲:松本治

[アンコール]
It Don't Mean a Thing スイングしなけりゃ意味がない
作曲:デューク・エリントン/編曲:松本治


面白かったです!前半の「ボレロ」を聞いた時点で、チケット代の元は取れたほどの充実感!これ以上のものは出てこないだろうと、おまけ程度の気分で休憩後に席に着きました。しかし、これが見事に裏切られます。「展覧会の絵」も、これでもかと聴かせてくれるんですから、まさに名前に違わず「スオペシャル・ビッグバンド」!!!
山下洋輔氏はもちろんのこと、その他のメンバーもその世界では引く手数多の超一流ぞろい。ジャズの世界に疎い私でも、存じ上げている方々がいらっしゃいます。山下氏いわく、メンバーの経歴を紹介すると2時間半くらいかかるそうです。う~ん、納得。曲順紹介を間違えた山下氏に対し、トロンボーンで軽く演奏し間違いに気付かせる松本治氏。そんな山下氏の人柄に加えメンバーとの息の合った駆け引きにと、演奏以外からも気持ちよくさせられる要素が詰まっていました。
「脱臼したボレロ」と紹介された「ボレロ」ですが、なかなかどうして「脱臼」なんてとんでもない!野性味溢れる、ジャングルで生き物たちがざわめいているような生きた音楽を感じさせてくれました。一見、統制の取れていない鬱蒼とした無法地帯のジャングルでも、その根幹は生命の源DNAの様に規則的で理路整然としている矛盾を叩きつけられたような衝撃でした。
「展覧会の絵」では、もう胸がいっぱいです。このブログに感想を書くことなど忘れ去り、アンコールまで夢中に楽しみました。最後に再びメンバーを紹介された時、一段と大きな拍手をもらっていたドラムスの高橋信之介氏。何処をどうすればあれだけ叩けるのだろうと、人間離れした演奏でしたものね。
最高のクリスマスプレゼントを頂いた気分です。楽しかったぁ!!!
[PR]
by umekononikki | 2012-12-16 15:56 | コンサート

あかね空

f0149664_1311184.jpgあかね空
山本一力著

希望を胸に上方から江戸へ下った豆腐職人の永吉。味覚の違いに悩みながらも恋女房に助けられ表通りに店を構える。傑作人情時代小説。第126回(平成13年度下半期)直木賞受賞。

物語の前半も登場人物たちが魅力的で、面白いのですが、後半になると様々な出来事が思い返され、自分も豆腐屋・永吉の家族になったかのような錯覚を感じるほど、物語の世界にのめり込みました。家族として共に過ごした時間の長さは、どんな物とも替え難い価値があるですね。前半の物語が、あたかも自分も家族と共に過ごしたかのように、後半に効いてくるんですよ。そんな様々な仕掛けが、からくり人形のように精巧に巧妙に仕掛けられてうならされました。粋なラストも良かったです。
[PR]
by umekononikki | 2012-12-15 13:01 |